• 2025年10月28日

関節リウマチ患者の膝関節破壊を伴う機能障害に対しては人工膝関節全置換術(TKA)推奨

関節リウマチによる膝関節の破壊が進行し、機能障害が生じた場合、人工膝関節全置換術(TKA)が強く推奨されます。TKAは、痛みの軽減と歩行能力の改善を目的とし、変形した膝関節を人工関節に置き換える手術です。

TKAが推奨される理由

  • 強い痛みの改善と機能改善: TKAは、保存療法で改善しない、激しい痛みを伴う場合に有効です。
  • 骨や靭帯の欠損による不安定性の改善: 骨や靭帯の欠損によって膝が不安定になっている状態を改善します。
  • 重度の変形の矯正: 膝が曲がったり伸びなかったりする高度な変形を矯正することができます。
  • 治療ガイドラインでの推奨: 関節リウマチ診療ガイドラインでも、TKAが強く推奨されています。 

手術の対象となる状態

  • Larsen grade III以上: 薬物治療で十分な効果が得られない場合。
  • 滑膜組織の骨髄への侵食: 滑膜が骨の中に侵食し、骨欠損(geode)が大きくなり、関節面の圧潰をきたしている場合。
  • 高度の変形: 骨の欠損や、内反・外反変形が高度な場合。
  • 屈曲・伸展拘縮: 膝の曲がりすぎや伸びすぎ(拘縮)が強い場合。 

具体的なエビデンスも共有しておきます。

・コホートレビューなし

多施設コホート研究+レジストリ研究

・TKAレジストリ研究ではTKAの10年関節生存率は95~96%

100例以上のRAを含むTKA論文

・10~15年関節生存率は81.6~100%

・全身健康状態も改善し、疾患活動性、治療コストも下げる

変形性膝関節症とRA膝関節破壊に伴う比較論文

・遜色ないTKA効果が得られる

上記結果が確認できた。

以上より、TKAの成績は長期成績が極めて安定していて、全身健康状態も改善し、疾患活動性、治療コストも下げることから「膝関節」に関しては強い推奨度となっている。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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