• 2025年10月28日

関節リウマチ患者さんに対し股関節破壊を伴う機能障害に対しては人工股関節全置換術推奨

関節リウマチの患者さんで、薬物療法でも痛みが改善せず、股関節の破壊によって日常生活に支障をきたす機能障害がある場合、人工股関節全置換術(THA)が治療法として推奨されます。人工関節に置き換えることで、痛みの軽減と機能の再建が期待できます。 

人工股関節全置換術の主な目的

  • 痛みの緩和: 炎症によって傷んだ関節を、神経のない人工関節に置き換えることで痛みが解消されます。
  • 機能の改善: 破壊された関節を再建し、股関節の動きを回復させることで、歩行能力が向上し、生活の質の改善につながります。 

手術のタイミングと判断基準

  • 保存的治療の効果が不十分: 抗リウマチ薬やステロイド剤などによる薬物療法やリハビリテーションを行っても、痛みが改善しない場合が手術の適応となります。
  • 関節の破壊と機能障害が進行: 関節の変形が進行し、歩行が困難になるなど、日常生活に大きな支障をきたしている場合に検討されます。
  • 適切なタイミング: 人工股関節置換術には適切なタイミングがあり、歩行困難になる前に治療を開始することで、より安全な手術と早期の社会復帰が可能になります。 

上記を支持する具体的なエビデンスも共有しておきます。

RCTなし。コホート研究なし。症例研究では23件のまとめがあります。要約です。

・人工股関節全置換術(THA)は除痛効果に優れ、その臨床成績であるJOAスコア、Harris Hipスコア、Postelスコアともに良好。

・感染率は3%程度。

・10年の人工関節生存率は90%以上。

・疾患活動性やQOLに対するTHAの長期的効果のエビデンスはない。

除痛効果は絶大で、「痛みがあればTHA適応」と判断できます。

術後アンケートでは93.4%が期待した効果が得られたと報告しており、89.6%が「手術をしてよかった」と評価されています。

以上より、関節リウマチ患者さんに対して、股関節破壊を伴う機能障害に対しては人工股関節全置換術が推奨されます。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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