• 2025年9月29日

亜鉛欠乏症(皮膚炎)

2歳男児。8ヵ月前から発疹・脱毛・水様性下痢が出現し、小児科を受診した。

生後6か月までは母乳のみで育てられ、その後は農作物と天然穀物からなるベジタリアンの食事で育てられてきた。その子供が、生後16か月で母乳から牛乳に移行したところから発疹・脱毛・水様性下痢が始まった。

以降改善を認めず、小児科を受診。

来院時現症として、子供はイライラしていて、口角炎、脱毛症、顔面や頭皮、目、口、耳の周囲にかさぶたを伴う境界明瞭なびらんを認めた。

発疹は肛門周囲領域、胴体、四肢すべてに及んでいた。

例)四肢

採血検査では血清亜鉛レベルは0.32µg/ml(基準範囲 0.65~1.10)であり、ALPは低値であった。

(亜鉛はALP活性の補因子であるため、亜鉛欠乏症の患者ではALP低値がみられることがある)

「亜鉛欠乏性症関連皮膚炎」と診断され、経口亜鉛補充と食事の変更が推奨された。

3週間後には脱毛症と皮膚炎は軽快した。

N Engl J Med 2023; 388:1799

DOI: 10.1056/NEJMicm2213071

柏五味歯科内科クリニック

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