• 2025年9月30日

紅色陰癬(白癬との鑑別重要:Corynebacterium minutissimum皮膚感染症)閲覧注意

特記すべき既往のない38歳男性。9ヵ月前から鼠径部に掻痒を伴う発疹が出現し改善を認めないため皮膚科を受診した。

バイタル正常。

身体所見では性器を持ち上げた際、周縁のはっきりした赤褐色斑を両側大腿の皮膚(性器裏)に認めた。

鱗屑や衛星病変は認めなかった。

病変から皮膚を削り取り、KOH直接検鏡では真菌性微生物は陰性だった。

ウッドランプ(紫外線ライト)施行。発疹はサンゴ色の蛍光を示した。

確定診断のため皮膚の細菌培養が施行され、Corynebacterium minutissimumが検出された。

上記から「紅色陰癬」と診断された。

紅色陰癬=Corynebacterium属の皮膚感染。ウッドランプ(紫外線ライト)でサンゴの様に赤色に輝く(細菌によって生成されるポルフィリンに紫外線が当たると赤く光る)ことが特徴。足趾間感染が最も多く、鼠径部にも見られる。白癬と鑑別を要する。治療自体はクラリスロマイシンなどの抗生剤を内服することで治癒できる。クリンダマイシンやムピロシンなどの薬剤を患部に直接塗布することも有効。

糖尿病患者や熱帯地方に住む人で多く見られる。

本症例は局所ムピロシンと経口エリスロマイシンが投与され、2週間後には治癒した。

N Engl J Med 2023; 389:e4

DOI: 10.1056/NEJMicm2215982

柏五味歯科内科クリニック

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