• 2025年10月3日

外傷性眼窩気腫症(転倒により複視と眼瞼浮腫出現)

63歳男性。転倒しコンクリートに顔面をぶつけてから複視と左眼の腫れぼったい感じが悪化し救急外来を受診。

身体検査では左眼の眼球結膜に気泡が見られ、眼窩周囲の腫脹、上下瞼のクレピタス音(砂利がこすれるような音)、左眼の外側上方、下方、横方向の運動制限を認めた。

眼窩受診し視力検査施行。左眼の視力は0.05、眼圧は25mmHg(正常範囲 12~20)であった。

右眼は正常であった。

CT施行。眼窩周囲皮下と左眼球後気腫、眼窩下縁骨折を認めたが、眼球は無事だった。

以上より「外傷性眼窩気腫症」と診断された。

外傷性眼窩気腫症とは眼窩骨折により、副鼻腔から眼窩内に空気が通過できるようになった場合に生じる。

結膜よりドレナージによる減圧術が施行され左視力は0.1まで改善した。

引き続き、抗生物質軟膏、眼潤滑剤、ブリモニジン点眼(アドレナリンα2受容体作動薬)の使用指示を受け退院したが、その後受診なく経過フォローは出来なくなった。

N Engl J Med 2023; 388:e35

DOI: 10.1056/NEJMicm2209451

柏五味歯科内科クリニック

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