- 2025年10月3日
先天性扇形異色症:霰粒腫(さんりゅうしゅ:瞼の内側に存在するマイボームに肉芽腫ができる疾患)で偶然見つかった症例。
43歳男性。3ヵ月前から瞼が赤くなる症状を訴え、眼科クリニックを受診。色とりどりの虹彩があることが判明した。眼科検査では視力は両目とも0.8/0.8であった。眼圧は正常範囲内。
右眼の虹彩は青色の上部と茶色の下部からなり(A)、左眼は茶色の上部と青色の下部からなっていた(B)
生まれた時から虹彩の色は2色だった。

左まぶたには霰粒腫(さんりゅうしゅ:瞼の内側に存在するマイボームに肉芽腫ができる疾患。麦粒腫は細菌感染でマイボーム腺に肉芽腫ができる。非細菌性の場合は霰粒腫。脂漏症やざ瘡などが原因として多い)。
「先天性扇形異色症」と「霰粒腫」と診断された。
異色症は虹彩間に2つの色をもつことが定義で、完全型異色症(各虹彩が他の色とは異なる単色)、扇形異色症(各虹彩が複数の色で構成されている)に分類される。
先天性異色症は単独の良性所見である場合もあれば遺伝性症候群に関連している場合もある。
本症例では家族は親族に数名の異色症と難聴の家族歴を持っていたが、本患者の聴力に問題は認めなかった。
遺伝的疾患の可能性が懸念されたため、遺伝子診療部に紹介された。
「霰粒腫」に対しては温湿布が処方され治癒した。
N Engl J Med 2023; 389:e6
DOI: 10.1056/NEJMicm2301437
柏五味歯科内科クリニック
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