- 2025年11月1日
手関節障害に対しては部分固定術およびSauve-Kapamdji(ソーベ・カパンジー)手術を考慮
手関節(wrist joint)の重度の障害や変形性関節症などに対して、痛みの軽減と機能改善を目的として、部分固定術(partial wrist fusion)やSauvé-Kapandji(ソーベ・カパンジー)手術が考慮されます。
それぞれの術式について以下に概要を説明します。
- 部分固定術(Partial Wrist Fusion):
- 手根骨(しゅこんこつ)の一部のみを固定することで、痛みの原因となっている関節の動きを止める手術です。
- 手関節全体の可動性をある程度残しつつ、痛みを大幅に軽減できるという利点があります。
- 特定の疾患や損傷(例えば、舟状骨無腐性壊死や一部の靭帯損傷後の変形)に対して選択されます。
- Sauvé-Kapandji(ソーベ・カパンジー)手術:
- 主に遠位橈尺関節(手首近くの親指側の2本の骨の間の関節)の障害に対して行われる再建術です。
- 橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃくこつ)の間を固定(尺骨頭固定術)し、その近位で尺骨の一部を切除することで、回旋運動(手をひねる動き)を可能にします。
- この手術は、特に回内外(手のひらを上や下に向ける動き)の制限と痛みを伴う場合に有効です。
これらの手術は、患者さんの症状、障害の原因、活動レベルなどを総合的に判断して、適切な治療法として選択されます。最終的な治療方針は、専門医による詳細な診察と検査に基づいて決定されます。

それぞれの術式により、疼痛はVAS評価で術前7.6/10であったのが、術後1.4/10まで改善。痛みなしは約7割達成できます。
どの形成術式を用いるかなど統一見解はなく、症例数も少なく、エビデンスは後方視的報告のみです。
その限られたエビデンスの中では「手関節には部分固定術+ 尺頭温存術(Sauve-Kapamdji術)」が一番成績が良いとされている。
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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