- 2025年11月1日
高齢発症RA(EORA)に対するMTXの位置づけ

EORA(高齢発症関節リウマチ)の治療法は、まだ十分確立されていないため、その特徴を正確にとらえ、今あるエビデンスから最も良いと思われる治療法を選択する必要があります。一般的な関節リウマチではMTXが標準治療になるため、EORAにおけるMTXのエビデンスを抑えるのがまず必要になります。具体的なエビデンスを共有します。
・高齢発症RA(EORA)とRA(非高齢)を比較した前向きコホート研究、レジストリ研究では、疾患活動性は高齢発症の方が高い傾向にあった。MTXを含むcsDMARDは有効であるが、関節破壊の進展程度は同等~EORAの方がやや悪かった。
・EORAに対しMTXを中心としたcsDMARDとbDMARDによる低疾患活動性を目標とした治療を行った前後比較研究において、高疾患活動性、ACPA陽性、診断時の骨びらんは関節破壊進行と関連し、治療開始3ヵ月にDAS28でEULAR no response、6か月後中等度以上の疾患活動性の症例は1年後に関節破壊が進行した。
・EORAに対しMTXを中心としたcsDMARDを開始した疾患活動性を有する高齢RAにおける1年後の寛解達成率は、25~40%であった(非高齢RAより低い)。
・EORAにおいてMTX併用群は非MTX投与分より治療継続率が高く、有害事象による薬剤中止率の頻度が低く、ACR50達成割合が高いことが示された(J rheumatol 2006;33;234-243)
・EORAと非高齢RAを比較したレジストリ研究において、MTXを含むcsDMARD投与中の重篤感染症の発現頻度は年齢と共に増加することが示された(Rheumatology 2011:50:124-131)
以上から「EORAもMTXを推奨するが、高齢になればなるほど重篤合併症リスクがあがるため治療強度は患者によって合わせる」という位置づけになっている
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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