• 2025年10月1日

関節リウマチ(RA)においてメソトレキセート(MTX)不応の場合考えること:csDMARDsを追加するのか生物製剤を用いるのか

値段の問題は置いておいて、医学的エビデンスを見ていきましょう。

■TNF阻害剤単剤群と、MTX/csDMARD群の比較

・DAS28をアウトカムとしたRCTは3件(計n=1103)

→有意差は示されなかった(RR=1.5、95%CI 0.84~2.68)

・ACR50をアウトカムとしたRCTは6件(n=2438)

  →TNF阻害剤単剤の方がcsDMARDsよりも有意差をもって成績がよい(RR=1.43、95%CI 1.06~1.93)

・HAQ改善のRCTは3件(n=873)

  →有意差なし(MD=-0.21、95%CI -0.44~0.02)

・mTSS変化をアウトカムとしたRCT

 →TNF阻害薬とMTX/csDMARDとの比較論文はない。ただしETNとMTX単剤を3年で比較すると優位差をもってETNの方がよいという論文はある(MD=-4.34、95%CI -7.56~-1.12) 

・重篤な副作用については4件のRCT(n=1355)

→有意差なし(RR=1.99、95%CI 0.78~5.09)

以上より、総合するとTNF阻害薬単剤の方がMTX/csDMARD組み合わせよりも良い結果が出ている。

では、非TNF阻害剤単剤群(ABTもしくはTCZ)ではどうなのでしょうか?

■MTX/csDMARD群の比較

・DAS28をアウトカムとしたRCTは3件(計n=908)

→有意差は示されなかった(RR=1.5、95%CI 0.79~2.85)

→ただしTCZのみの解析ではTCZ単剤はMTX/csDMARDに対し有意差あり(RR=2.02、95%CI 1.55~2.64)

・ACR50をアウトカムとしたRCTは4件(n=1318)

  →有意差示せず(RR=1.60、95%CI 0.88~2.91)

・HAQ改善のRCTは2件(n=873)

  →有意差示せた(MD=-0.31、95%CI -0.38~-0.23)

・mTSS変化をアウトカムとしたRCTは2件

→優位差なし(MD=-2.16、95%CI -5.00~0.68) 

・重篤な副作用については4件のRCT(n=1684)

→有意差なし(RR=1.25、95%CI 0.91~1.73)

□まとめ

非TNF阻害薬単剤でコントロールした場合、DAS28やACR50では有意差を示せなかったが、HAQでは有意差を示せた。患者の満足度は高いことが推定される。TCZ単剤ではDAS28でMTX/csDMARD群に対し有意差を出せている。

上記のデータをもってガイドラインではTNF製剤のみならず、非TNF単剤に切り替えても良いとされている。

実臨床では、値段の問題も総合して検討し、処方しています。

柏五味歯科内科クリニック

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