- 2025年10月1日
関節リウマチ(RA)においてメソトレキセート(MTX)効果不十分の場合、TNF阻害薬がよいのか非TNF阻害薬製剤がよいのか

関節リウマチ(RA)において、MTXを含むcsDMARDs使用ではコントロールが付かず、生物製剤を導入することを決めた場合、どの生物製剤がよいのか、という問題があります。
現時点におけるエビデンスを共有しておきます。
・MTX+ABT(n=156) vs MTX+IFX(n=165)
1年後のDAS28-ESR:RR=1.53、95%CI 0.91~2.60:有意差なし
1年後のACR50達成率:RR=1.09、95%CI 0.89~1.19:有意差なし
有害事象に有意差なし
・MTX+ABT vs MTX+ADA
1年後のDAS28-ESR:RR=1.09、95%CI 0.88~1.33:有意差なし
1年後のHAQ-DIは:MD=-0.01、95%CI -0.02~-0.00、p=0.0003:ABTがわずかに良かった。
1年後のmTSSはMD=0.20、95%CI -0.45~0.85、p=0.54:有意差なし
有害事象に有意差なし
・MTX+TCZ vs MTX+TNF阻害薬
・MTX+TCZ vs MTX+ABT
上記のようなRCTは組まれていない。
よって現時点では、MTXに併用する場合、ADAもABTもTCZも明らかに優れた製剤はない、と判断できます。
その場合、使用の歴史が長いことから安全性が考慮され、TNF製剤が用いられることが多いですが、安全性が高いという根拠も十分ではありません。
このようなことを考えながら処方しています。
一方、MTXを用いずbDMARDs単独で用いる場合はIL6阻害薬のTNF阻害薬に対する優位性が確認されているので話が別になります。
この話は次回します。
柏五味歯科内科クリニック
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