• 2025年10月1日

手掌紅斑(妊娠によるもの。自然軽快するので心配不要です)

33歳の妊娠糖尿病を患っている妊婦。妊娠35週に両手の手のひらに発赤を認め、内科を受診した。

妊娠第2期(13~24週)から出現し、グルココルチコイドの局所投与も無効であった。

身体所見としては、両手の手のひらと指全体にまだらで白くなっている紅斑を認めた。

手のひら以外に発疹やかゆみ、痛みを伴う場所は認めなかった。

診断として「妊娠性手掌紅斑」と診断された。

妊娠性手掌紅斑は妊娠による血管皮膚の生理変化の一つ。紅斑は本症例の様にびまん性で斑点状である場合もあれば母指球隆起部に限定されている場合もある。場合によっては発赤はかゆみ、ちくちく感、灼熱感を伴うこともある。妊娠性手掌紅斑に対して特別な治療法はなく、この状態は通常分娩後2週間以内に消失するが、2ヵ月程度かかる場合もある。

本症例の場合は、経腟分娩から1週間後、紅斑は大幅に減少し、出産後2か月までに完全に消失した。

N Engl J Med 2023; 388:e50

DOI: 10.1056/NEJMicm2210742

柏五味歯科内科クリニック

ホームページ