- 2025年10月19日
関節リウマチの患者さんに間質性肺炎が合併している場合、MTX・LEF・Tac・TNF阻害薬の使用には注意が必要です。

関節リウマチ患者さんには間質性肺炎が高頻度に合併するため、最初にレントゲンを撮影し、間質性肺炎がないかを確認します。間質性肺炎がある場合、注意が必要な薬があります。「使ってはいけない」わけではないです。どのような患者さんに使用できて、どのような患者さんに避けなくてはならないか、医師目線を共有しておきます。
■日本リウマチ学会の指針(2020)
ILDがある場合はMTX・LEFは慎重に経過を見ながら投与を検討しても良いというエビデンス。
具体的には「高度な呼吸器障害を有する患者」でなければ投与してもよい。
高度な呼吸機能障害の定義
- PaO2<70(理論値SpO2≦94)
- 呼吸機能検査で%VC<80%の梗塞性障害
- CTで高度の肺線維症の存在
ILD合併RA患者に対するRCT、質の高い観察研究はないためやや漠然とした取り決めとなっている。
・RA-ILDにABT投与(40例)
投与前後でFVCの改善・不変割合は88.5%、DLCOの改善・不変割合は91.3%
・RA-ILDにTCZ投与(78例)
投与前後でCTの改善・不変割合は92.3%。
・RA-ILDにTNF阻害薬投与(43例)
投与前後でCTの改善・不変割合は69.6%
・RA-ILDにTac投与(40例)
投与前後でCTスコアは有意に悪化した(p=0.0039)
JAK阻害薬の効果については言及なし。Tacも肺野を悪くしうるし、TNF阻害薬も約3割は悪化していることを考えると使いにくい。
TCZやABTを使用しておく方が無難と考えております。
当院ではKL-6などの繊維化マーカーを測定したりSpO2濃度は毎回確認し、リスク管理を行っております。
柏五味歯科内科クリニック
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