• 2025年10月28日

肘関節破壊を伴う機能障害があれば人工肘関節全置換術を考慮

肘関節の破壊を伴う機能障害がある場合、人工肘関節全置換術は、痛みや関節の動きを改善するための選択肢となります。この手術は、特に薬物療法やリハビリテーションでは改善が見られない場合に検討されます。 

手術のメリット

人工肘関節全置換術により、以下のような改善が期待できます。 

  • 痛みの軽減: 破壊された関節面を取り除くことで、痛みが大幅に和らぎます。
  • 関節機能の改善: 曲げ伸ばしなどの可動域が改善し、日常生活動作(洗顔、食事など)が楽になります。
  • 関節の安定化: 著しい不安定性があった肘関節が安定します。 

考慮すべき注意点

人工肘関節全置換術には、合併症などのリスクも存在します。

  • 感染: 手術後の感染リスクは、特に基礎疾患(糖尿病など)がある場合に考慮されます。
  • 合併症: 尺骨神経麻痺による小指のしびれなどが生じる可能性があります。
  • 人工関節の耐用年数: 人工関節には寿命があり、再手術が必要になることがあります。

いつ行うべきかはまだ定まった見解はありません。RCTはなく、下記は総合データでの解析になります。

平均10年での人工肘関節生存率は71~99%であり、合併症は11~61%(平均27%)であった。

臨床スコア(MEPI)がどのように改善されたか

・87肘を5年以上フォロー(追跡率96%)した報告→MEPIは40点から95点に改善、合併症発生率は11%だった。

・75肘を5.2年フォロー(追跡率97%)した報告→MEPIは42→87点に改善し、合併症発生率は12%、10年人口肘生存率は93%であった。

術式はunlinked TEAはlinked TEAに比して再置換術のリスクが1.9倍だった(95%CI 1.1~3.2)

「いつ整形外科にコンサルトするか」という明確な基準はないが、肘関節破壊を伴う機能障害(MEPI40点台)ならば整形外科にて手術を検討してもらい、MEPI80点台を目指すのもあり、というエビデンスと考えられます。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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