• 2025年9月28日

急性ジアルジア症(腎移植後)

腎移植歴のある24歳男性が3日間続いた下痢を訴え救急外来受診。

腎移植に関しては、先天性の尿路異常があり、CKDを発症し、今回の下痢で受診の5か月前に生体血縁ドナーから腎臓移植を受けている。

現在の内服は低用量の維持免疫抑制療法(PSL+カルシニューリン阻害薬+MMF)が施行されている。

診察時の身体所見は異常を認めなかった。

便培養提出。顕微鏡における所見はランブル鞭毛虫の嚢胞と洋ナシ形の栄養体(矢印)を認めた。

栄養型は特徴的な運動性(落葉)があり、四対の鞭毛によって推進されるためである。

栄養型は便のトリクロム染色でも同定され、迅速イムノクロマトグラフィーアッセイではG.ランブリア陽性であった。移植後に多いC.ディフィシル、ウイルス病原体、クリプトスポリジウム、シストイソスポラ種の追加検査は陰性であった。

異常から急性ジアルジア症と診断した。

ランブリア属による感染症(十二指腸ジアルジア、腸ジアルジアとしても知られている)は、通常、汚染された食品または水中の嚢胞を接種した後に発生する。免疫抑制患者はリスクが高くなるが、G.ランブリア感染は健康な人にも症状を引き起こすことがある。

本症例はメトロニダゾール(MNZ)を5日間投与し、治癒し、その後再発はなかった。

N Engl J Med 2023; 388:e73

DOI: 10.1056/NEJMicm2211056

柏五味歯科内科クリニック

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