- 2025年10月19日
心血管リスクを有する関節リウマチ患者さんに対するリウマチの治療薬の選び方

心血管リスクがある関節リウマチ患者さんにはどのような薬がよいのか、エビデンスがあります。医師としてはもともと関節リウマチがあるだけで心血管リスクが高まるので注意を常にしています。エビデンスをメタ解析、RCT、コホート試験、市販後調査の順で共有してきます。
メタ解析
・RA患者全体を対象として治療薬と複合血管イベント発生率
→TNF阻害薬、MTX、ABT、TCZ使用患者では非使用患者に比して心血管イベントが起きる確率が低いことが示された。(治療を十分行ってRAの疾患活動性が抑えられていた方が複合血管イベントが起きにくい)
RCT
・心血管リスクのあるRA患者3080人を対象にTCZとETNを投与し複合血管イベントの発生率を比較。
有意差なかった(HR=1.05、95%CI 0.77~1.43)
コホート
・心血管リスクを有するRA患者6248人を対象にABTとTNF阻害薬の複合血管イベントの発生率の比較。
ABTはTNF阻害薬に比較し血管複合イベントの発生率が有意に低かった(HR=0.79、95%CI 0.64~0.98)。
TOFの市販後臨床試験の中間解析
・50歳以上の1つ以上の心血管リスクを有するRA患者を対象にTPF10mg1日2回投与群(日本は5mg1日2回)でTNF阻害薬と比較し、肺塞栓症のリスクが高いこと(17件/3123例vs 3件/3319例)が報告され注意喚起がなされた。
全体を通すと、心血管リスクがあっても、DMARDsは使用できますが、JAK阻害薬はもしかしたら心血管リスクのある他疾患を抱えている患者には投与しない方が無難かもしれません。
柏五味歯科内科クリニック
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