• 2025年10月21日

胆汁性胸水:肝転移による横隔膜欠損

77歳男性。転移性肺腺癌がある。

2週間にわたる呼吸困難を主訴に救急外来を受診。

身体所見としては右肺における呼吸音の減弱が著明だった。

胸部X-pでは右側に胸水貯留を認めた。

AUSでは以前から知られている肝転移と肝周囲の液体貯留に加え、胆管の新たな管内拡張が確認された。

採血所見としてはT-Bil 2.5(D-Bil 2.0)と上昇していた。

胸腔ドレーンを留置したところ、排出された胸水は褐色だった。その後だんだんと黒色に変化していった。

胸水検査では滲出性であり、T-bil 8.2(D-bil 7.5)であった。胸水TG正常範囲、培養や細胞学的検査は陰性だった。

「胆汁性胸水」と診断された。

胆汁性胸水は胆汁が胸膜腔に流入することで発症し、本症例では肝転移による横隔膜欠損であると考えられた。

発症から2週間後、進行性肝不全により死亡した。

N Engl J Med 2023; 388:e17

DOI: 10.1056/NEJMicm2206943

柏五味歯科内科クリニック

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