- 2025年10月21日
HCV-RNA陽性の関節リウマチ(RA)患者には通常治療が可能です

HCV-RNA陽性の関節リウマチ(RA)患者さんの診療では、肝炎の進行とRAの治療薬による肝機能への影響を考慮し、肝臓専門医との連携が不可欠です。 関節リウマチ専門医としてはどのようなエビデンスのもとで「通常通り治療してよい」と判断しているのでしょうか?エビデンスを共有しておきます。
RCT
・HCV-RNA陽性RA患者29人を対象にMTX、ETN、MTX+ETNの3群に分け、血清ALT値、ウイルス量の変化について検討。
→3群共に54週までALT値やウイルス量の増加を認めなかった。
観察研究
・HCV-RNA陽性RA患者20人を対象にTNF阻害薬治療前後における血清ALT値、ウイルス量の変化を観察。
→ALT値、ウイルス量の有意な変化を認めなかった。
コホート研究
・HCV-RNA陽性RA患者748人を対象にbDMARD投与、csDMARD投与によりALT>100、ウイルス量>1 log/mlとなる割合を検討。
→37治療例(3.4%)がALT上昇あり。全例次回採血でALT<100以下に低下し一過性であった。
その頻度はbDMARD群4.8%、csDMARDで2.3%だった。
→ウイルス量は748人全例で増加を認めなかった。
・RA患者450人を対象に肝硬変の発生率を検討。MTX使用者195人では11.2/1000人年、MTX非使用者255人では35.8/1000人年であった。
→C型肝炎を有するRA患者に対してcsDMARDでもbDMARDでも肝機能悪化やウイルス量増加に影響を与えなかった。
上記より、肝臓専門医と提携しながら、リウマチの活動性が落ち着くことを優先に考え治療します。当院では肝臓専門医が勤務しており、連携して管理可能です。
柏五味歯科内科クリニック
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