• 2025年10月23日

関節リウマチ(RA)の患者さんは手を動かした方が良いのか

関節リウマチの患者さんは、安静が必要な時期と適度な運動を取り入れるべき時期があります。炎症が強い時期には無理な運動を避け、痛みが落ち着いている時期には、関節の柔軟性や筋力を保つための適度な運動が推奨されます。 

症状に合わせた運動の考え方

  • 炎症が強い時期(急性期)
    • この時期は、関節の痛みや腫れ、熱感が強く出ます。無理に動かすと炎症が悪化する可能性があるため、まずは患部を安静にすることが重要です。
    • 安静にしている間も、関節が固まらないように、痛みのない範囲でゆっくりと動かすことはできますが、必ず医師や理学療法士に相談して指示をもらってください。
  • 痛みが落ち着いている時期(慢性期)
    • 病気の活動性が低い時期には、手や指を動かすリハビリテーションが非常に重要になります。
    • 目的: 関節の可動域(動かせる範囲)を維持・改善し、筋力を保ち、こわばりを和らげます。
    • 方法: 柔らかいボールを握ったり、指を一本ずつ動かしたりするような、関節に負担をかけすぎない運動が効果的です。
    • 注意: 激しい運動はかえって症状を悪化させる可能性があるため、無理のない範囲で行うことが大切です。 

具体的な手の運動の例

  • 手のひらを開く・閉じる: グーパーを繰り返します。
  • 指曲げ: 指を一本ずつ、ゆっくりと曲げ伸ばしします。
  • タオル絞り: 濡らしたタオルを絞る動作も、筋力維持に役立ちます。
  • セラピーボール: 柔らかいボールを握って緩める運動も、効果的なリハビリの一つです。 

運動療法のポイント

  • 専門家の指導を受ける: 自己流で行うのではなく、医師や理学療法士、作業療法士に相談し、自分に合った運動プログラムを作成してもらいましょう。
  • 無理をしない: 運動中に痛みを感じたらすぐに中止します。無理な負荷は逆効果です。
  • 毎日続ける: 短時間でも毎日継続することが大切です。無理のない範囲で習慣化しましょう。 

運動は、薬物療法と並んで関節リウマチの治療における重要な柱です。正しい方法で無理なく続けることが、手の機能維持につながります。 

作業療法と運動療法のエビデンスも一応共有しておきます。

作業療法に関するRCT(3件)

・HAQ-DI(患者主観の身体機能)の改善は3件全てのRCTにおいて有意差があった(平均差-0.35、95%CI -0.63~-0.08)

・疼痛(Pain VAS)については1件のRCTで評価があり、平均差は-28.18、95%CI -46.08~-10.28。

・疾患活動性について1件のRCTで評価があり、介入により改善方向を向いていた(DAS28平均差-1.00、95%CI -2.00~-0.00)

→以上より作業療法は主に患者の主観の身体機能を改善させ、満足度が向上するため、患者の希望があれば推奨される。

運動療法に関するRCT(全体的な運動療法6件、上肢機能改善を目的とした運動療法3件)

・運動療法によるHAQ-DI(患者主観の身体機能)の改善は平均差-0.35、95%CI -0.6~-0.10で運動療法を施行した方が有意差をもってよかった。

・SF-36(生活の質)においては8項目中6項目において有意差を認めた。

・疼痛においても運動療法において有意な改善が見られた(標準SD -2.04、95%CI -3.77~-0.32)

以上より「患者自身の満足度が有意差をもってあがる」ため、RAに対する運動療法は希望があれば推奨される。

柏五味歯科内科クリニック

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