- 2025年10月23日
関節リウマチ(RA)に罹患している患者さんの頚椎症は早期に手術した方が成績がよいです

有症状性の関節リウマチの頚椎症とは、関節リウマチが原因で頸椎(首の骨)に炎症や破壊が起こり、それによってさまざまな神経症状が現れる状態のことです。 一般的な加齢による頸椎症とは異なり、関節リウマチによる炎症性の変化が原因となるため、より深刻な神経症状を引き起こします。
発生のメカニズム
関節リウマチの炎症は、頸椎の関節や靭帯、骨に影響を与えます。特に、最も上にある第1頸椎と第2頸椎の間の関節(環軸関節)に炎症が起こることが多いです。これにより、以下のような不安定性や合併症を引き起こします。
- 環軸椎亜脱臼: 第1頸椎と第2頸椎がずれてしまう病態で、最もよく見られます。
- 頭蓋底陥入: 頭蓋骨が頸椎に入り込んでしまう病態です。
- 環軸椎以下の亜脱臼: 第2頸椎以下の頸椎にずれが生じます。
主な症状
症状は病態の進行度によって異なりますが、主に以下のようなものが見られます。
- 首や後頭部の痛み: 炎症や亜脱臼によって、首や後頭部に痛みを伴います。
- 首のこわばり: 特に朝起きた時に、首のこわばりを感じることがあります。
- 神経症状: 進行すると、神経根や脊髄が圧迫されることで神経症状が現れます。
- 手足のしびれや痛み
- 手足の筋力低下
- 巧緻運動障害(箸が使いにくい、ボタンを留めにくいなど)
- 歩行障害やバランス感覚の異常
- その他: 非常にまれですが、脊髄の圧迫が重度になると、膀胱や腸の機能障害が起こることもあります。
診断と治療
- 診断: 頸椎の不安定性や脊髄の圧迫を確認するために、X線検査(特に首を曲げた状態での撮影)やMRI、CT検査が用いられます。
- 治療: 症状の重症度によって治療法が異なります。
- 保存的治療: 軽症の場合は、頸椎カラーなどによる固定や薬物療法が行われます。
- 手術療法: 神経症状が進んだ重症例では、不安定な頸椎を金属で固定する手術が必要となることがあります。
早期に頚椎症の手術をした方がよいデータが集まっているので共有します。
系統的レビュー
・腱反射亢進やしびれを伴う自覚的な筋力低下のある修正Ranawat分類(脊髄症)Ⅱでは、保存的治療で神経症状悪化例が70%以上であるのに対し、手術例では10%未満。
・術前に座ったり歩いたりできない修正Ranawat分類Ⅲでは手術しても改善しにくい可能性がある。
・整復可能な環軸関節亜脱臼は他の垂直脱臼などに比して術後2、10年の成績がよい。
神経症状出現時、悪化時には保存的治療よりも手術の方がよい結果が得られる可能性があるため整形外科医や患者さんと要相談になります。
柏五味歯科内科クリニック
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