• 2025年10月24日

自己注射指導がうまくできなかった症例:1型糖尿病患者に認めた胼胝(タコ)症例

1型DMの70歳女性。

長年糖尿病を患っており、CKD stage3(eGFR 30~60)、神経障害、視力障害を伴う進行性の網膜症の合併があった。

基礎ボーラスインスリン療法を受けており、指刺し検査用のランセットと音声血糖計を使って1日4~7回血糖チェックを行ってきた。その結果、指先に痛みやあざが生じ、最終的には瘢痕かや色素沈着過剰を伴う胼胝(タコ)が形成された。 

同患者のHbA1cは6.0%であり、貧血も認めなかった。

同患者は自分で血糖管理を行い、主治医の診察を受ける事はほとんどなかったため気づかれずここまで来ていた。

患者には検査には痛みの少ない指の側面を使用し、ランセットの毎回交換、ランセットの挿入深さを調節するようにアドバイスがなされた。

更にHbA1cの目標を緩和し、音声対応の持続血糖モニターの使用が推奨されたが、受け入れを拒否され、経過観察のために戻ってくることはなかった。

自己管理における定期的な再教育の重要性が強調される症例であった。

N Engl J Med 2023; 388:e14

DOI: 10.1056/NEJMicm2036309

柏五味歯科内科クリニック

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