• 2025年10月25日

関節リウマチ患者さんが整形外科手術を受ける際に生物製剤を中止するかはケースバイケースです。

関節リウマチの患者さんが整形外科手術を受ける際に生物製剤を中止するかどうかは、MTXとは異なり、定まった見解がありません。その大きな理由はランダム化試験がないことにあります。その他のエビデンスを共有しておきます。

・1219件の手術のうち202件の手術を条件揃えした後、TNF阻害薬休薬群104例、TNF阻害薬継続群92例を解析。ロジスティック解析分析の結果両群差が無く、TNF阻害薬は周術期合併症の危険性を高めないとされた。

・bDMARDを使用している約7000人の患者を含んだ11件のコホート研究からメタアナリシスが施行。

bDMARDは主にTNF阻害薬が使用された。患者の2/3は周術期にbDMARDが中断され、中断期間は1~16週間であった。

周術期のbDMARDの中断は継続した場合と比較して下記関連があった。

・手術部位の感染発生率に有意差なし(2.8% vs 3.6%、p=0.49)

・創傷治癒の遅延の発生率も有意差なし(1.0 vs 2.3%、p=0.32)

・疾患の再燃率は高い(25.7% vs 7.3%、p=0.04)

→感染発生率や創傷治癒の遅延は有意差がつかず、疾患再燃率は有意差がついたため、生物製剤を手術前に中止しても利益がないことが示唆された。

実臨床では疾患活動性やどのくらいの期間休薬するかなど個別に応じて幅広く対応する必要があり、各症例柔軟に対応しています。

柏五味歯科内科クリニック

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