- 2025年10月1日
トキソプラズマ感染症(眼性)
49歳男性。1週間前から左眼のかすみとまぶしさを訴え眼科受診。
全身症状は認めなかった。
左眼の視力は0.1、前房に軽度の肉芽腫性ぶどう膜炎を認めた。
眼底検査では限局性の脈絡網膜炎と中等度の硝子体炎症を認めた。
(硝子体炎症は「霧の中のヘッドライト」のような外観としても知られる真っ白な反射の形をとる)

右眼の検査は正常だった。
眼底所見、血清トキソプラズマIgGの上昇、トキソプラズマIgM正常範囲(再活性化では陰性)、血清トキソプラズマPCR陽性の所見から「急性眼性トキソプラズマ症」と診断した。
眼性トキソプラズマ症は後部ぶどう膜炎のもっとも一般的な感染性の原因。片側の脈絡網膜炎や硝子体炎を視力の変化として現れる事もあれば、無症候性の場合もある(その場合はのちに脈絡網膜瘢痕が偶然確認されることで疑われる)。
治療として抗菌薬3剤(ピリメタミン200mgをローディング、2日目より50mg/day、症状軽快してから1~2週間後まで+スルファジアジン1g/day、症状軽快してから1~2週間+ホリナート1回5mgを週3回、ピリメタミン中止後1週間後まで継続)+PSL(1mg/㎏/日、症状軽快まで)による治療が開始された。
1か月後の経過観察では左眼の硝子体炎症は治まっていたため治療は終了方針となったが視力は0.1のままであった。
N Engl J Med 2023; 388:1317
DOI: 10.1056/NEJMicm2211525
柏五味歯科内科クリニック
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