- 2025年10月7日
弾性線維性仮性黄色腫様症候群:ABCC6遺伝子(16p13.1)の常染色体劣性変異
27歳男性。凝固異常を指摘され内科外来受診。
既往は特になく、肝疾患や吸収不良や易出血性の既往もなかった。
家族歴として妹にも同様に皮膚所見と凝固異常があった。
来院時身体所見としては胴体全体と腋窩にゆるんだ皮膚を認めた。

採血検査ではPT時間とAPTTの活性化時間延長を認め、ビタミンK依存性凝固因子の活性レベルが低下していることが示唆された。
遺伝性疾患が考えられ、遺伝子検査が施行された。
その結果、ビタミンK代謝関与する酵素であるγグルタミルカルボキシラーゼをコードする遺伝子に病的変異を認め、皮膚および凝固因子異常の説明となった。
診断としては「弾性線維性仮性黄色腫様症候群」と診断された。
「弾性線維性仮性黄色腫」はABCC6遺伝子(16p13.1)の常染色体劣性変異。どちらも同様の表現型(皮膚のたるみ、視力障害、心・血管中膜弾性版変性)を示すが、凝固異常はビタミンK代謝関連の酵素異常である「弾性線維性仮性黄色腫様症候群」しか起こさない。
現在血液症状がないため、患者の治療は将来的に出血が起こった場合にプロトロンビン複合体(ケイセントラ🄬)を投与する方針となり、経過観察となった。
N Engl J Med 2023; 388:e26
DOI: 10.1056/NEJMicm2024743
柏五味歯科内科クリニック
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