• 2025年9月28日

悪性黒色腫(原発性びまん性髄膜悪性黒色腫)

27歳女性。3ヵ月前から頭痛・嘔吐を認め、錯乱とけいれんが出現したため救急要請。

これまで特段の既往はない。

身体検査では後部硬直を認め、Jolt accentuationも陽性であった。あきらかな麻痺は認めなかった。

頭部造影MRIではT1強調画像で、びまん性軟髄膜高信号を認めた。

続いて腰椎穿刺が行われた。開始時の圧は水柱330mm(基準80~180)だった。

脳脊髄液分析により核比率の高い粗いクロマチンを有する大型の非造血細胞を認めた。

感染症検査は陰性だった。

症状を伴う頭蓋内圧亢進症が持続したため、外部の右室ドレーン留置が選択された。

留置中、硬膜を切開した後、黒色化した髄膜が見られた。

髄膜の生検サンプルは悪性黒色腫と一致した。

皮膚所見や眼科検査、PET-CTでは他の部位に黒色腫の病変は認められなかった。

「原発性びまん性髄膜悪性黒色腫」と診断された。

BRAF V600変異検査(悪性黒色腫において認める事が多い変異)は陰性だった。

免疫療法による治療が開始されたが、診断から7か月後、患者は死亡した。

N Engl J Med 2023; 388:1892

DOI: 10.1056/NEJMicm2212333

柏五味歯科内科クリニック

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