- 2025年10月22日
関節リウマチ(RA)に対し、早期治療介入を行うことで、将来の整形外科手術のリスクを減らせます

関節リウマチ(RA)に対し、早期に治療介入を行うことで、進行性の関節破壊を防ぐことができるため、将来的な整形外科手術のリスクが低減します。
1. 炎症を抑制し、関節破壊を予防する
RAは関節の滑膜に炎症が起き、これが持続することで、軟骨や骨が徐々に破壊されていく病気です。
- 早期治療の目的: 疾患活動性が高い状態をできるだけ早く抑え、関節を構成する組織が破壊されるのを防ぎます。
- 手術の回避: 関節がひどく破壊される前に炎症をコントロールすることで、人工関節置換術などの大規模な手術が必要になる事態を回避できます。
2. 治療の有効性が高い「治療の窓」を活かす
RAの発症後、比較的早い時期には薬物療法が効果を発揮しやすい「治療の窓(Window of Opportunity)」が存在するとされています。
- 寛解の可能性: この時期に強力な治療を開始することで、病気の進行を長期的に抑え、寛解(病気の活動性が低い状態)に至る可能性が高まります。
- 長期的な合併症の抑制: 早期の段階から病気をうまくコントロールすることで、関節の変形や機能障害といった、RAの長期的な合併症を抑えることができます。
3. 生物学的製剤やメトトレキサートなどの治療薬の効果
近年、生物学的製剤やメトトレキサートといった強力な治療薬が登場したことにより、RAの早期治療が大きく進歩しました。
- 関節温存: これらの薬剤を早期に使用することで、かつては避けられなかった関節破壊の進行を効果的に食い止め、結果的に手術の件数が減少しています。
4. 機能障害の予防とQOL(生活の質)の維持
早期の段階で炎症をコントロールすることは、関節の痛みや腫れを軽減するだけでなく、関節の機能低下を防ぐ上でも重要です。
- 手術以外の選択肢: 早期の段階で病状を安定させることで、滑膜切除術のような比較的小規模な手術や、手術以外の保存療法を主体とした治療を継続できる可能性が高まります。
- 生活の質の向上: 手術を回避できれば、身体機能や生活の質を維持したまま、より長く日常生活を送ることが可能になります。
このようなエビデンスは症例集積報告(J Rheumatol 2016;43;861-868、Arthritis Res Ther 2015;17:197)からきており、診断1年以内にMTXを含むcsDMARDの使用などRAに対する治療介入した群は使用しない群に比して整形外科的手術が必要になる可能性が報告されています。
関節リウマチの治療の進歩はすさまじく、昔の治療介入が残念ながら遅れた人たちの関節変形が著明で、直近発症の関節リウマチ患者さんの関節がかなりの確率で保たれるようになっていることからも理解できます。
柏五味歯科内科クリニック
ホームページ