• 2025年11月11日

リンパ性フィラリア症:蚊によって媒介される線虫由来の寄生虫感染症。輸入感染症を鑑別に挙げられるかが全てです。

26歳男性。特記すべき既往なし。1か月前から陰嚢の痛みと腫れ、微熱が継続し泌尿器科外来を受診した。

BT 37.5。その他バイタル特記事項なし。身体所見としては、右陰嚢に圧痛と腫脹を認めた。

採血所見ではEos 1180(<500)

陰嚢超音波では右精巣(星印)および精巣上体の近くに索状構造物を認め、移動性があることが確認された。カラードップラーは陰性だった。

「フィラリアダンスサイン」として知られるリンパ性フィラリア症における所見と一致していた。

リンパ性フィラリア症は蚊によって媒介される線虫によって引き起こされる寄生虫感染症。

ダンスサインはリンパ管に侵入し、リンパ管の拡張と機能不全を引き起こす生きた虫のうねりを表している。

治療的診断として超音波ガイド下にて陰嚢リンパ液の吸引を行ったところ、Wuchereria bancrofti種の生きたミクロフィラリアが光学顕微鏡で同定され、「リンパ性フィラリア症」の確定診断となった。

ジエチルカルバマジン(スパトニン🄬)を3週間経口投与した後、症状は軽快し、超音波検査では運動性ミクロフィラリアは観察されなくなった。

N Engl J Med 2022; 387:e61

DOI: 10.1056/NEJMicm2022348

柏五味歯科内科リウマチクリニック

ホームページ