• 2025年11月24日

水銀中毒:民間療法で水銀を注入したことを契機に発症。治療はキレート療法(ジメルカプトコハク酸(テクネ🄬)内服になります。

25歳男性。特記すべき既往なし。

約3ヵ月前から倦怠感・吐気・空咳を認め内科受診した。

胸部X-p施行され、肺・右心房(矢印)、右心室(*)に透過性の低下した所見を認め総合病院紹介となった。

追加問診で、症状発生の1週間前に下腿白癬の民間療法として水銀4mlを静脈内注射していたことが分かった。

身体所見では眼瞼結膜蒼白を認めた。

臨床検査ではHb 6.5(基準値 12.0~16.0)、血清Hg 430µg/dl(基準値<1.5)であった。

24hの尿中水銀は29792µg/day(基準値<45µg/day)、腎機能は正常であった。

腹部Xpでは肝臓・腎臓・腸骨静脈および左精巣静脈においても同様の金属密度が示されていた。

「水銀中毒」と診断された。

ユニチオールの静脈内投与によるキレーション療法が開始された。

2週間の治療後、症状は軽快し、Hb 8.0まで上昇、血清Hg 254µg/dlに減少した。

以降経口ジメルカプトコハク酸(テクネ🄬)によるキレート療法を継続する方針となり退院となった。

N Engl J Med 2022; 387:1888

DOI: 10.1056/NEJMicm2202896

柏五味歯科内科リウマチクリニック

ホームページ