- 2025年12月1日
デング熱:デング熱迅速検査(デング熱非構造タンパク質1)およびデング熱IgMの血清陽性。発熱+皮疹の解説もしています。
23歳女性。昨日から掻痒を伴う発疹を認め、救急外来を受診した。
発症の5日前に発熱・悪寒・筋肉痛・嘔気・食思不振・眼窩後部頭痛が出現した。
症状は4日間続き、今回の掻痒を伴う発疹がおきる前に治癒していた。
来院時バイタルは正常。
身体所見では腕(A)や脚、胴体(B)に紅斑性発疹を認め、一部発疹の影響を受けていない皮膚も散在した。

手のひらと足は所見を認めなかった。
あざや天井出血も認めず。
血算ではリンパ球減少を伴うWBC減少を認めたがHb・PLTは正常範囲だった。
デング熱迅速検査(デング熱非構造タンパク質1)およびデング熱IgMの血清検査の結果は陽性だった。
「デング熱」と診断された。
デング熱は、発熱期、重症期、回復期の3つの段階に分類され、回復期にはこのように「赤い海の中の島(islands in a sea of red)」のように見える、影響を受けていない皮膚の領域を伴う融合性の紅斑性発疹が存在することがある。今後も改善していくだろうことを説明し帰宅。3日後のフォローアップ外来では発疹の完全治癒を確認した。
ちなみに「発熱+皮疹」では風疹・水痘・麻疹を考え、麻疹ならコプリック班があるかをチェック、水痘なら様々な時期の皮疹が混在しているかチェックするんでしたよね。ショックまで伴った「皮疹+発熱」の場合は髄膜炎菌やリケッチア、ガス壊疽/壊死性筋膜炎/TSS(Toxin Shock Streptoccoal)・IEを考慮。
輸入感染症を疑うならば頻度を考えると、デング熱・リケッチア・腸チフスの3つを考える。
どこから来たか(アジアはデング熱・腸チフス、アフリカはデング熱・マラリア)も重要で、潜伏期を考えデング熱は約0-10日、腸チフスは10-20日、マラリアが30日以上であることも確認し矛盾しないか確認。
皮疹からは絞り切ることは困難ですが、デング熱は「真っ赤」が一般的です。

N Engl J Med 2023; 389:e28
DOI: 10.1056/NEJMicm2305074
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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