• 2025年9月28日

結晶性汗腺炎

ICU入室中の55歳男性。前日には無い水疱性発疹が突然出現したので皮膚科コンサルトとなった。

この患者は17日前に小腸閉塞を認め、治療するために探索的開腹術と小腸切除術を受けていた。術後敗血症性ショック、呼吸不全、発熱を認めていたためICUにて管理されるに至っていた。

身体所見としては患者は挿管され、保温対策がされていた。水滴に似た小胞が胸部と上腕全体に見られた。

小胞は軽い触診では破裂せず、強い圧力をかけると壊れた。

病変には紅斑はなかった。

24時間後、何も介入しないうちに発疹は治まった。

臨床診断は「結晶性汗腺炎」と診断された。

結晶性汗腺症は角質層の汗腺の表面閉塞によって生じる良性の自然治癒する皮膚疾患。

新生児に最も多くみられるが、発熱性疾患や熱帯環境など高温多湿にさらされた成人においても観察される。

周囲環境を的確に認識することが、重症患者に対する不必要な皮膚生検や経験的治療を避けるのに役立つ。

N Engl J Med 2023; 388:e68

DOI: 10.1056/NEJMicm2210388

柏五味歯科内科クリニック

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