• 2026年3月21日

Behcet(ベーチェット)病:診療科の壁を越えた標準化医療に向けて 2020 ガイドライン

ベーチェット病は、全身の諸臓器に急性の炎症発作を繰り返す、原因不明の難治性炎症性疾患です。厚生労働省の指定難病の一つであり、2014年時点の医療受給者証所持者数は2万人を超えています。

主な症状(主症状)は、口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍(口内炎)皮膚症状(結節性紅斑や毛包炎様皮疹)、眼症状(ぶどう膜炎)外陰部潰瘍の4つです。これらが時期をずらして出没を繰り返すのが特徴で、全ての主症状を呈する「完全型」から、一部のみの「不全型」まで病態は多様です。さらに、重篤な副症状として、腹痛や下血を来す腸管型、動脈瘤や血栓症が生じる血管型、髄膜炎や精神症状を呈する神経型といった特殊型があり、これらは予後を左右する重要な病型とされています。

病因は完全には解明されていませんが、HLA-B*51HLA-A*26、自己炎症疾患に関連するMEFV遺伝子(E148Q変異など)といった遺伝的素因に、細菌感染などの環境要因が加わって発症する多因子疾患と考えられています。かつて「シルクロード病」と呼ばれたように地中海沿岸から東アジアにかけて患者が多く、近年では自然免疫の異常による自己炎症疾患としての側面からも病態解明が進んでいます。

診断には特異的な検査所見がないため、臨床症状の組み合わせによる厚生労働省の診断基準(2016年改訂)が用いられます。治療の基本は、炎症を抑えるコルヒチンやステロイド外用薬ですが、既存治療で効果不十分な眼病変や腸管・血管・神経病変に対しては、**TNF阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ)**などの生物学的製剤が導入され、失明防止や臓器障害の抑制に劇的な成果を上げています。

本ガイドラインは、最新のエビデンスに基づき、診療科を越えた横断的な理解と適切な標準化医療を提供するためのまとめ集です。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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