- 2026年4月1日
ハンセン病(レプラ)の最新知見:診断・治療・予防のパラダイムシフトと「ゼロ・レプロシー」への戦略
ハンセン病(Hansen’s disease)身体障害や外見の変化、それに伴う深刻な社会的スティグマを引き起こします。
診断においては、(1)知覚低下を伴う特徴的な皮膚病変、(2)末梢神経の肥厚、(3)スリットスキン抹消検査での菌検出、という3つの主徴が重要です。近年では、菌量が少なく診断が困難な「少菌型(PB)」に対し、PCR検査によるDNA検出や、特異的な抗体(抗PGL-I抗体)を用いた血清学的診断を組み合わせることで、診断精度の向上が図られています。
治療戦略の柱は、1981年に導入されたリファンピシン、ダプソン、クロファジミンによるWHO推奨の**多剤併用療法(MDT)**です。現在は、治療期間をさらに短縮するための新規レジメン(リファンピシン、モキシフロキサシン、ミノサイクリンの併用など)や、ベダキリンといった新薬の転用についても臨床研究が進められています。また、治療中や治療後に生じる急激な免疫反応(らい反応)は、神経機能の急速な喪失を招くため、ステロイド等による早期の炎症管理が不可欠です。
予防と根絶に向けては、患者の接触者に対するリファンピシンの単回投与(SDR)や、BCGワクチンの追加接種が有効な**ポストエキスポージャー・プロフィラキシス(PEP)**として推奨されています。さらに、米国でのアルマジロや英国での赤リスといった野生動物からの感染例が報告されており、ヒト・動物・環境の健康を一体で捉える「ワンヘルス」アプローチの重要性が強調されています。2030年までの「ハンセン病ゼロ」達成には、医療的介入と並行して、差別的な法律の撤廃や患者の社会復帰支援といった人権ベースの取り組みが不可欠です。















Lancet. 2026;407(10528):805-819. doi:10.1016/S0140-6736(25)01963-4
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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