腋窩白癬：毛の先が白くなります。白癬と名前はついていますが、真菌ではなくコリネバクテリウム種が原因です。

35歳男性。9ヵ月前から腋毛が白くなり、よく見ると白いのは先端だけで、先端に何かついているようにも見えたため、皮膚科受診。

最初、陰毛にも同様の所見が出現し、陰毛は全て剃ることで、以降同様の所見は見られなかった。

腋毛に関してはココナッツオイルベースの抗菌石鹸で洗浄したものの改善を認めなかった。

診察では悪臭・掻痒を認めず、同部位は疼痛も認めなかった。

両腋窩は白色凝結物が観察された（A）

ウッドランプ検査では血症の黄緑色の蛍光が示された（B）

ダーモスコピーでは毛幹上の綿状構造物が明らかになった（C）

「腋窩白癬」と診断された。

腋窩白癬は腋毛の表在性細菌感染症。

真菌ではなくコリネバクテリウム種によって起こされる細菌感染であるため、正確には誤称であるが、定着して呼ばれている。

特に多汗症や衛生状態の悪化がある場合、細菌が乾燥したアポクリン汗と混合することにより毛幹に目に見える沈着物が形成される。

局所クリンダマイシンと毎日の過酸化ベンゾイル（ベピオ🄬ゲル）洗浄により1週間の治療後、症状は軽減し、再発は無くなった。

N Engl J Med 2022; 387:e59

DOI: 10.1056/NEJMicm2206453