• 2025年11月21日

耳蝿症:蝿の幼虫が中耳・外耳に寄生する疾患です。慢性中耳炎、糖尿病、衛生状態の劣悪環境で発症します。

64歳男性。特記すべき既往なし。

5日前から左耳の痛み、かゆみ、出血を訴えて救急外来受診。

身体所見では左外耳道に多数の移動性幼虫を認め、左外耳道を閉塞させていた。

幼虫を除去するために、耳吸引器、鉗子、滅菌水を用いて幼虫の除去が施行された。出てきた虫が下記。

左耳を更に検査したところ、鼓膜の穿孔が確認された。

虫の種類から「耳蝿症」と診断された。

耳蝿症は蝿の幼虫が中耳・外耳に寄生する病態である。

危険因子として慢性中耳炎、糖尿病、衛生状態の劣悪環境などがある。

治療には幼虫の除去と耳の洗浄を行い、残っている微生物を全て追い出すことが大事になる。

二次感染を防ぐため、局所および全身投与抗生剤で治療され、鼓室形成術が必要になることもある。

本症例は耳鼻咽喉科に紹介され、7日後には鼓室形成術を施行せず症状は治まった。

N Engl J Med 2022; 387:e53

DOI: 10.1056/NEJMicm2005407

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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