- 2025年11月25日
眼鉄症:眼内に鉄を含んだ異物が入った症例です。なぜ放置してはいけないかわかります。
55歳男性。特記すべき既往なし。
4か月前から右眼の視力低下と飛蚊症を自覚し眼科受診。
6か月前に目の保護をせず鉄の釘を打っていた時、何かが右眼にあたっていた。
来院時、右眼視力は手動弁まで低下しており、右眼の細隙灯顕微鏡検査では結膜充血、多色の虹彩、混濁を伴う水晶体が確認された。

「眼内の鉄沈着を伴う眼内異物(眼鉄症)」と診断された。
眼鉄症が眼の構造への鉄の沈着がフリーラジカル損傷とその後の視力喪失を起こす色素変性プロセスである。
本症例では、水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズ移植術、扁平部硝子体切除術、異物(鉄片)除去術を受けた。
6か月後のフォローアップ時には右眼の視力は0.5まで改善したが、網膜電図検査では持続的な杆体(暗いところで働く視細胞)および錐体(明るいところで働く視細胞)の機能不全が残存していることが示された。
N Engl J Med 2022; 387:e49
DOI: 10.1056/NEJMicm2205233
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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