• 2025年12月1日

ガストリノーマに起因する胃酸過剰分泌症候群(ゾリンジャー・エリソン症候群)

75歳男性。6ヵ月前から心窩部痛が出現し、水様性げの下痢、体重減少(6㎏/6ヵ月)が出現し改善を認めないため救急外来を受診した。

身体所見では上腹部の圧痛が著明であった。

GF施行され、重度の食道炎(A)、前庭部のびらん、十二指腸潰瘍も認めた(B)

胃のpHは2未満で、空腹時のガストリン濃度>1000pg/ml(基準範囲13~115)であった。

「ガストリノーマに起因する胃酸過剰分泌症候群(ゾリンジャー・エリソン症候群)」の確定診断となった。

PPIによる治療が開始され、腹痛と下痢の頻度は減少した。

PET-CTにて十二指腸の第4部分に沿って単一の腫瘍が存在することを同定し、十二指腸部分切除+リンパ節郭清術が施行された(Cの矢印が腫瘍)。

病理組織学検査により、リンパ節内の高分化神経内分泌が示され、免疫組織化学染色でガストリン陽性だった(D)。

手術から3か月後、空腹時の血清ガストリン濃度は44pg/mlまで改善し、PPIの漸減が開始され、PPI中止後も症状再燃は起こらなかった。

N Engl J Med 2022; 387:1699

DOI: 10.1056/NEJMicm2203797

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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