• 2025年9月28日

悪性梅毒

44歳男性。

既往にHIVがあり、抗レトロウイルス療法を断続的に遵守している。

1か月前から38℃台の発熱が続き、掻痒をと伴う皮膚病変が改善しないため、内科外来を受診した。

来院時BT 38.3℃

身体所見では四肢と頭皮に黒褐色の層状プラークを認めた。

採血施行。CD4細胞数は86/mm3(正常範囲414~1123)、ウイルス量は35900コピー/ml(正常範囲<20)。

迅速血漿レアギン力価は1:32であった(レアギン:非トレポネーマ試験。ウシ由来のカルジオリピン脂質に対するヒト抗体。梅毒の迅速診断方法)。

梅毒TPも陽性が確認された。

左前腕の皮膚生検施行。びまん性の頻ピリンパ球および形質細胞浸潤物と混合した組織球が認められた。

悪性梅毒と診断された。

※悪性梅毒

主に免疫不全の人が罹患する稀な形態の滲梅毒。皮膚症状は潰瘍結節性病変から牡蠣殻様の痂皮まで多岐にわたる。

本症例の患者は神経梅毒を評価するための腰椎穿刺を拒否した。またペニシリンに対するアナフィラキシーの病歴を理由に提案されたペニシリン減感作療法も拒否された。2週間にわたりCTRXの静注療法を受け、皮膚病変と発熱は軽減した。3か月後RPR力価は1:2に減少していた。

N Engl J Med 2023; 388:1991

DOI: 10.1056/NEJMicm2213894

柏五味歯科内科クリニック

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