• 2025年11月7日

生殖可能年齢女性に対する抗リウマチ薬

生殖可能年齢の女性が関節リウマチの治療を受ける際、妊娠・出産は十分可能ですが、使用できる抗リウマチ薬は限られます。治療薬の選択と管理は、胎児への影響を避けるため、産婦人科医とリウマチ専門医による綿密な連携が不可欠です。

関節リウマチ(RA)の疾患活動性が高いまま妊娠すると子宮内発育不全、妊娠合併症のリスクがあがる。RA自体もコントロールしにくくなります。まずRAの疾患活動性を抑えてから妊娠してもらいます。

・病勢おちついていて妊娠希望がある時

流産や催奇形性、胎児毒性のない薬剤を用いる

使用不可(催奇形性):MTX・Dペニシラミン、LEF、JAK阻害薬、IGU、ミゾリビン

使用可能csDMARD:SASP、Tac、PSL

使用可能bDMARD:TNF阻害薬(胎児移行性がない:ETN、CZP)、TCZ(+SAR)、ABT

※BUCは疫学研究や論文化された症例報告なし。

■エビデンス

前向きコホート

・催奇形性発生率はMTX暴露群6.6%、健常対照群2.9%(調整OR=3.1、95%CI 1.03~9.5)

・TNF阻害薬の暴露群と非暴露群の比較でOR=1.47、95%CI 0.45~4.82であり、有意差なし。

・ADA使用のRA患者。ADA暴露群における先天大奇形は調節OR=0.72、95%CI 0.14~3.5であり、有意差なし。

・妊娠83例(IFX35例、ETN25例、ADA23例)、第一三半期(~13週6日)に暴露。非暴露疾患と比較してOR=0.9、95%CI 0.2~4.2

・TOFは74例の妊娠第一三半期暴露例に関する報告では先天大奇形のリスク上昇は示唆されなかったが、安全性を判断するには情報不足で、Bari、UPAでは人のデータはない。動物の生殖発生毒性試験で安全域が通常投与量の10倍未満であり、妊娠中は使用しない方がよいと判断されている。

・胎児移行性が高いIFX、ADAを妊娠末期まで使用していた例において出生6か月までの児に血中に検出されたという報告があるため、生ワクチン接種に注意(BCGやロタウイルス生ワクチンは0歳で受ける)。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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