- 2025年12月1日
壊死性筋膜炎:レントゲンで分かる症例
37歳男性。サッカーの練習中に腕に鈍的外傷を負った後、1週間前から左上腕に痛みと腫脹が出現し救急外来を受診した。
既往としてオピオイド依存症の病歴があり、ブプレノルフィン(レペタン🄬:オピオイド部分作動薬。鎮痛やオピオイド依存症の治療に用いられる)にて治療されていた。
過去2年間は静脈内オピオイド使用は無かった。
受診時、HR 120、BP 96/54、BT 37.9
左上腕は熱感・圧痛・腫脹を認め、上腕は摩擦音も聴取した。
上腕のXpでは、深部組織に空気と液体貯留があると思われる透過性を認める領域が示された。

その後CTが撮影され、伸筋区域の筋肉内にガスのポケットが存在することが明らかになった。
「壊死性筋膜炎」が疑われ、緊急外科的デブリードマンが施行され、「壊死性筋膜炎」と確定診断された。
壊死性筋膜炎の患者は本症例のようにはっきり写ることは珍しく、軟部組織の浮腫のみが示されることの方が多い。
臨床医は局所的で徐々に悪化する筋痛や全身状態を伴う患者では、「壊死性筋膜炎」を鑑別に挙げる必要がある。
最初の緊急手術から48時間後に2回目のデブリードマンが施行された。
複合微生物感染症を治療するため、広域抗菌薬が選択され、3週間抗生剤投与を行い、上腕の機能は完全に回復した。
N Engl J Med 2022; 387:1597
DOI: 10.1056/NEJMicm2108439
柏五味歯科内科リウマチクリニック
ホームページ