• 2026年1月31日

亜急性複合変性症:笑気ガス吸入による副作用

32歳男性。特記すべき既往なし。

6週間前から腕と足にうずき感があり、2週間前から歩くことが出来ない状態に至ったため、救急外来を受診した。

発症の2ヵ月前から「笑気ガス(N2O)」を毎日吸い始めた。

身体検査ではロンベルグテスト陽性(脊髄後索に問題があるか確認するテスト:両足を揃えてたち、目を閉じてもらって立ち続ける事ができるかチェックするテスト。バランスを崩せば陽性)、感覚失調、振動覚低下を認めたが、温痛覚は保たれていた。

MRI施行。T2強調画像にてC1~Th12までの後部脊髄に高信号が示された。

水平断ではT2強調画像とFLAIRにて脊髄後索に高信号を認めた。

これは亜急性複合変性症で見られる「逆Vサイン」として知られる所見。

採血所見はVitB12 107 pg/ml(基準値 >231)、大球性貧血は認めなかった。抗内因子抗体陰性だった。

N2O使用に関連する「亜急性複合変性症」と診断された。

N2Oを長期間使用すると、VitB12が不活性化され、メチオニン合成酵素活性が阻害される。

N2O使用の中止とシアノコバラミン(Vit.B12)注射による治療を2週間受けた後、Vit.B12は正常化した。

4週間後には自立して歩くことが出来るまで回復した。

N Engl J Med 2022; 387:832

DOI: 10.1056/NEJMicm2119871

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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