- 2026年3月29日
心臓手術の出血治療における凍結保存血小板の有効性と安全性:CLIP-II非劣性試験の結果
心臓手術における止血管理において、凍結保存血小板が従来の液状保存血小板の代替となり得るかを検証した大規模臨床試験「CLIP-II」の結果です。通常の血小板製剤は有効期限が5〜7日と短く、廃棄率が高いことが課題ですが、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いてマイナス80度で凍結した血小板は最長2年間の長期保存が可能であり、血液製剤の供給安定化が期待されています。
オーストラリアの11施設で実施されたこの非劣性試験では、出血リスクの高い心臓手術患者を対象に、術後24時間の胸腔ドレーンからの出血量を比較しました。解析の結果、凍結保存群の出血量は液状保存群よりも多く、統計的な非劣性は証明されませんでした。また、凍結保存群では術中の総出血量が有意に増加し、赤血球や血漿、クリオプレシピテートといった他の血液成分の追加輸血も多く必要とする結果となりました。
さらに、凍結保存血小板を使用した患者では、人工呼吸器からの離脱やICU・病院からの退院までの期間が延長する傾向が認められました。一方で、重篤な副作用や合併症などの有害事象の発生率については、両群間で有意な差はなく、安全性については同等であることが示されています。
結論として、液状保存血小板が迅速に利用できる通常の医療環境下では、凍結保存血小板が標準治療を置き換えるには至りませんでした。しかし、その優れた長期保存性は、製剤の維持が困難な遠隔地や離島、あるいは軍事医療や災害現場といった特殊な状況下における輸血戦略として、依然として重要な価値を持つと考えられます。















JAMA. 2026;335(7):600-608.
柏五味歯科内科リウマチクリニック
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