• 2026年7月6日

【柏市我孫子市・肝臓内科】月1回の注射で肝臓が若返る?脂肪肝から進行する「MASH」の新薬エフィモスフェルミンと体の仕組み:MASHに対するエフィモスフェルミンの第2相試験の結果を解説

放置すれば肝硬変へ。月1回の治療で肝臓の脂肪を減らし、硬くなった線維化を改善する画期的な証明

「健康診断で脂肪肝を指摘されたが、お酒は飲まないから大丈夫だろう」「太り気味だが、特に痛いところもないので放置している」――そんな油断が、実は命に関わる深刻な病気を静かに進行させているかもしれません。 近年、アルコールとは無関係に、肥満や糖尿病などの代謝異常を背景として肝臓に脂肪が溜まり、炎症や線維化(肝臓が硬くなること)を引き起こす「代謝不全関連脂肪肝炎(MASH:マッシュ、旧称NASH)」という病気が急増しています。MASHは放置すると肝硬変や肝がんへと進行する恐ろしい病気ですが、これまで有効な治療薬が非常に限られていました。 今回、世界で最も権威のある医学誌の一つ『The Lancet』にて、このMASHの患者様に対する全く新しい注射薬「エフィモスフェルミン(efimosfermin)」の第2相臨床試験の結果が発表されました。今回はこの最新データに基づき、脂肪肝が肝臓を破壊していく「体の仕組み」と、月1回の新しい治療がもたらす希望について柏我孫子の肝臓専門医が解説します。

1. 脂肪肝が肝硬変へと進む「体の仕組み」

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、少々のダメージでは症状を出しません。しかし、肥満や糖尿病により過剰なエネルギーが体内を巡ると、処理しきれなくなった中性脂肪が肝臓の細胞にパンパンに溜まり込みます(脂肪肝)。 この状態が続くと、肝臓の細胞が風船のように膨らんで破裂(風船様腫大)したり、周囲に強い「炎症」を引き起こしたりします。すると、傷ついた肝臓を修復しようとして「コラーゲン」などの線維が過剰に作られ、やがて肝臓全体がカチカチに硬く縮んでしまいます(線維化)。これが進行した状態がMASHであり、最終的には肝機能が失われる「肝硬変」へと至るという恐ろしい体の仕組みがあるのです。

2. 月1回で効く新薬「エフィモスフェルミン」とは

今回開発された「エフィモスフェルミン」は、私たちの体内にある「FGF21」というホルモンの働きを真似たお薬(FGF21アナログ)です。このホルモンは、肝臓の脂肪を強力に燃やし、炎症を鎮め、全身のインスリンの効きを良くする(血糖値を下げる)という素晴らしい働きを持っています。 これまでのFGF21のお薬は効果が長続きせず頻繁な注射が必要でしたが、エフィモスフェルミンは特殊な技術で成分を長持ちさせることにより、「4週間に1回(月1回)」の皮下注射で十分に効果を発揮するように改良されました。

3. 線維化の改善とMASHの消失を証明した驚きのデータ

今回の臨床試験では、すでに中等度から高度の線維化(F2〜F3)が進んでいるMASHの患者様を対象に、エフィモスフェルミンを24週間投与しました。 その結果、偽薬(プラセボ)のグループと比較して、エフィモスフェルミンを投与した患者様では、「MASHの悪化を伴わずに肝臓の線維化が改善した割合」が有意に高く(45% vs 21%)、さらに「線維化の悪化を伴わずにMASHが消失した割合」も劇的に高い(68% vs 29%)ことが証明されました。つまり、進行しつつあった肝臓の硬さを和らげ、炎症の火事を強力に鎮火させることができたのです。

4. 全身の代謝を整える安全な治療

エフィモスフェルミンは肝臓の脂肪を減らすだけでなく、糖尿病を合併している患者様の血糖値(HbA1c)を低下させたり、善玉コレステロール(HDL)の増加、中性脂肪の低下といった全身の「代謝」を整える素晴らしい効果も確認されました。 副作用としては、投与開始初期に吐き気や下痢などの胃腸症状が見られましたが、その多くは軽度で一過性であり、月1回という利便性からも長期間続けやすい治療であることが示されています。 「たかが脂肪肝」と放置せず、健康診断で肝機能の異常を指摘された場合は、手遅れになる前に全身の代謝を評価できる肝臓専門医や総合内科専門医へご相談ください。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、肝臓専門医・総合内科専門医の視点から、ただ単に肝臓の数値を下げるだけでなく、肥満や糖尿病、お口の中の環境がどのように肝臓の炎症に繋がっているのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、最適な治療と生活習慣の改善をご提案します。必要に応じて高度医療機関(消化器・肝臓内科)への速やかな橋渡しを行い、最新の治療へ安全にお繋ぎします。私たちは、柏・我孫子エリアの皆様が、進行する肝疾患への不安から解放され、いつまでも健やかな毎日を楽しめるよう全力でサポートいたします。

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Mazen Noureddin, Kris V Kowdley, Tatjana Odrljin, et al. “Efimosfermin alfa (BOS-580) once per month in people with metabolic dysfunction-associated steatohepatitis with F2 or F3 fibrosis: results from a 24-week, randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial.” Lancet 2026; 407: 794–804.

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