- 2026年7月12日
【柏市我孫子市・総合内科】突然の腫れと激痛(腹痛)に備える。難病「遺伝性血管性浮腫(HAE)」の最新治療法と体の仕組みを解説
命に関わる発作を未然に防ぐ。飲み薬や皮下注射など、劇的に進歩したHAEの3つの治療戦略
「前触れもなく喉が腫れて息ができなくなる」「のたうち回るような激しいお腹の痛みが数日続く」——遺伝性血管性浮腫(HAE)は、体内の「ブレーキ(C1-インヒビター)」が不足することで、ブラジキニンという物質が過剰に作られ、全身の血管から水分が漏れ出して巨大な腫れを引き起こす指定難病です。 通常のじんましんの薬(抗ヒスタミン薬やステロイド)が全く効かないため、かつては発作のたびに救急車で運ばれ、時に命を落とす危険と隣り合わせの病気でした。しかし現在、HAEの治療法は飛躍的な進化を遂げています。現在は患者様のライフスタイルに合わせた強力な治療戦略があります。今回は、発作の不安から解放されるための「3つの治療アプローチ」と、それを支える体の仕組みについて柏我孫子の総合内科専門医が解説します。
1. いざという時の「急性発作治療(オンデマンド療法)」
HAEの発作が起きてしまった場合、特に顔や喉(上気道)の腫れは窒息死に至る危険があるため、一刻も早い治療が必要です。2023年に示されたHAEガイドラインでは、発作の重症度に関わらず「できるだけ早期に」治療薬を投与することが強く推奨されています。主な治療薬として、不足しているブレーキそのものを直接補う「C1-INH静注製剤(ベリナート®P)」や、腫れの原因であるブラジキニンの働きをブロックする「自己注射薬(フィラジル®)」が使用されます。患者様ご自身で自己注射ができる態勢を整えておくことで、発作が起きても自宅ですぐに火事を消し止めることができる体の仕組みが作られています。
2. 発作を未然に防ぐ「長期予防」の劇的な進歩
近年のHAE治療において最も大きく変わったのが、発作のない平穏な日常を取り戻すための「長期予防」の分野です。これまでは頻繁に病院で点滴を受ける必要がありましたが、現在では月に数回の「皮下注射(タクザイロ®、ベリナート®皮下注)」や、1日1回の「飲み薬(オラデオ®)」といった画期的な新薬が登場し、ガイドラインでも強く推奨されています。これらは、血液中のカリクレインという酵素の働きを抑え込むことで、腫れの原因物質(ブラジキニン)が作られるのを根本から食い止めるという素晴らしい体の仕組みを持っています。発作の頻度やQOL(生活の質)の低下に悩む患者様にとって、大きな希望となっています。
3. 抜歯や手術前の「短期予防」の重要性
HAEの患者様にとって、外科手術や「歯科での抜歯」、気管内挿管といった体への物理的な刺激(侵襲)は、処置後48時間以内に発作を誘発する大きな引き金となります。 そのため、こうした処置を行う前には、あらかじめ「C1-INH静注製剤(ベリナート®P)」を予防的に投与(短期予防)しておくことが強く推奨されています。これにより、顔面や喉の腫れのリスクを劇的に(7.5〜16%まで)軽減できることが証明されており、医科と歯科が連携して安全を確保することが極めて重要です。
4. 妊娠・出産における安全な管理
HAEの治療薬の中には、妊娠中には使用が推奨されないもの(最新の長期予防薬など)が多く存在します。しかし、昔から使用されている「C1-INH製剤」は、人間の血液から作られた自然なタンパク質であるため、妊娠中の急性発作や短期予防、さらには長期予防としても安全に使用できることが確認されています。ガイドラインでも、妊娠HAE患者様へのC1-INH製剤の投与は明確に推奨されており、適切な管理のもとで元気な赤ちゃんを出産することが十分に可能です。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、お薬がどのようにして血管の腫れを食い止めるのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、最新のガイドラインに基づいた安全な治療管理をサポートします。HAEの長期予防薬の選択や、抜歯・インプラント治療などの際に必須となる「短期予防」の医科歯科連携など、全身の健康をトータルで守る体制を整えております。当院では診断から専門的な分子標的治療まで、必要に応じて高度アレルギー専門施設と連携しながら対応いたします。HAEの症状や現在の治療に不安を抱えておられる方は、柏・我孫子エリアの相談窓口である当院へお気軽にご相談ください。
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日本補体学会 HAE ガイドライン作成委員会. “遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema:HAE)診療ガイドライン 改訂 2023 年版
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