• 2026年3月28日

急性腰痛治療のパラダイムシフト

急性・亜急性腰痛が慢性化するリスクのある成人を対象とした大規模な臨床試験「PACBACK試験」の結果です。腰痛は世界的に身体障害の主要な原因の一つですが、多くの治療がニーズに対応できていないという課題があります。本研究では、1,000名の参加者を対象に、脊椎マニピュレーション(カイロプラクティック等)生物心理社会モデル(Biopsychosocial)に基づくセルフマネジメントの有効性を、標準的な医学的ケアと比較検証しました。

1年間の追跡調査の結果、臨床家による支援付きセルフマネジメント(SSM)、および「SSMと脊椎マニピュレーションの併用」を受けたグループは、医学的ケア群と比較して身体障害(Disability)を有意に軽減させることが判明しました。身体障害が50%以上改善した患者の割合は、SSM群で67%に達し、医学的ケア群の54%を上回る結果となっています。

一方で、痛み(疼痛強度)については、全ての治療群間で有意な差は認められませんでした。また、重要な知見として、脊椎マニピュレーション単独の治療では、身体障害および痛みの両方において医学的ケアに対する優位性が示されませんでした。さらに、セルフマネジメントに脊椎マニピュレーションを追加しても、さらなる上乗せ効果は得られないことが示唆されています。

この研究は、腰痛の長期管理において、単なる対症療法ではなく、運動や認知行動戦略、感情調節などを組み合わせた多角的なセルフマネジメント支援が機能回復に寄与することを強調しています。患者が主体的に取り組む非薬物療法としてのセルフマネジメントは、慢性腰痛への移行を防ぐための重要な戦略となります。

JAMA. 2026;335(6):497-510. doi:10.1001/jama.2025.21990

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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