- 2026年4月4日
難病・巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)への新たな挑戦:足細胞を標的としたTRPC6阻害薬BI 764198の有効性
巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)は難病です。蛋白尿やネフローゼ症候群を引き起こし、最終的には人工透析や腎移植が必要な末期腎不全に至るリスクが高い疾患ですが、これまでは足細胞(ポドサイト)を直接保護するような特異的な治療法が存在しませんでした。近年の研究により、足細胞にあるTRPC6チャネルの過剰な活性化が、細胞の脱落や腎機能低下を招く重要なメカニズムであることが解明されています。
この「体の仕組み」に着目して開発された新薬が、選択的TRPC6阻害薬であるBI 764198です。今回、世界10カ国で実施された第2相臨床試験の結果が報告されました。この試験では、生検で診断された一次性FSGSまたは遺伝性TRPC6変異を持つ患者62名を対象に、12週間の投与が行われました。
主要評価項目である「尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)の25%以上の減少」を達成した割合は、プラセボ群の7%に対し、BI 764198投与群(全用量)では35%と有意に高い結果となりました。特に20mg用量では、プラセボと比較して40%もの尿蛋白減少が認められています。また、遺伝的なTRPC6変異を持つ患者においては、投与された4名全員が治療に反応しました。安全性についても良好で、副作用の頻度はプラセボ群と同程度でした。
本研究は、FSGSにおいて足細胞を直接標的とした治療薬が有効であることを世界で初めて証明した画期的なエビデンスです。現在、より長期的な予後を検証するための第3相試験が計画されており、難治性の腎疾患治療におけるパラダイムシフトが期待されています。












Lancet. 2026;407(10524):587-598. doi:10.1016/S0140-6736(25)02255-X
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