- 2026年5月19日
V2〜V4の「陰性T波」に要注意
それは“心臓からの危険サイン”かもしれません
亜急性心筋梗塞・タコつぼ心筋症・Wellens症候群を専門医が解説【柏・我孫子】
胸の症状が落ち着いていても、心電図に「危険なサイン」が残っていることがあります。
その代表が、心電図の**V2〜V4誘導に現れる陰性T波(T波が下向きになる変化)**です。
特にこの所見は、
- 心筋梗塞が進行した後
- 一時的に血流が改善した後
- 強いストレスによる心筋障害
などで現れることがあり、見逃してはいけない重要な変化として知られています。
中には、
「胸痛はもう治ったから大丈夫」
と思っていた方が、数時間〜数日後に大きな心筋梗塞を起こすケースもあります。
今回は、V2〜V4の陰性T波で特に重要な
- 亜急性心筋梗塞
- タコつぼ心筋症
- Wellens(ウェレンス)症候群
について、患者さん向けにわかりやすく解説します。
■そもそも「陰性T波」とは?
心電図のT波は、通常は上向きです。
しかし、心筋にダメージや虚血(血流不足)が起きると、T波が下向きになることがあります。
特にV2〜V4という胸の誘導で陰性T波が出る場合は、前壁(心臓の前側)の異常を疑います。

① 亜急性心筋梗塞(Recent MI)
「胸痛が治まった後」に見つかることがあります
心筋梗塞というと、
- 強い胸痛
- ST上昇
- 救急搬送
をイメージされる方が多いと思います。
しかし実際には、
「数日前に胸が痛かった」
「今はもう落ち着いている」
という状態で受診される方も少なくありません。
この段階では、ST上昇が消え、代わりに陰性T波が出現していることがあります。
つまり、「心筋梗塞が終わった後のサイン」として陰性T波が現れるのです。
■なぜ危険なのか?
症状が落ち着いていても、
- 心筋ダメージ
- 心不全
- 不整脈
- 再梗塞
のリスクは残っています。
そのため、
- 心筋酵素(トロポニン)
- 心エコー
- 必要時の冠動脈検査
が重要になります。

② タコつぼ心筋症
強いストレスが引き金になることがあります
タコつぼ心筋症は、
- 強い精神的ショック
- 大きなストレス
- 過労
- 家族の不幸
- 強い不安
などをきっかけに発症する心疾患です。
女性に多いことでも知られています。
一見すると心筋梗塞に似ていますが、冠動脈が完全に詰まっているわけではありません。
■心電図では深い陰性T波が出ることがあります
発症直後はST上昇を示すこともありますが、
24時間〜数日経過すると、
- 深い陰性T波
- QT延長
が目立つようになります。
そのため、
「少し前に大きなストレスがあった」
という病歴が診断のヒントになります。

③ 最も危険な「Wellens症候群」
“痛みが落ち着いている時”ほど危険です
Wellens症候群は、
左前下行枝(LAD)という重要な血管の高度狭窄
を示唆する非常に危険な状態です。
特徴的なのは、
- 胸痛が改善した後
- 比較的落ち着いて見える時
- ST上昇が目立たない時
に、V2〜V4の陰性T波だけが残ることです。
つまり、
「今は大丈夫そう」
に見えてしまうのです。
しかし実際には、
近い将来、大規模な前壁心筋梗塞を起こす危険性が非常に高い
状態です。
■「帰宅させてはいけない」病態
Wellens症候群では、
「今は痛くないから様子をみましょう」
という判断が極めて危険になることがあります。
必要に応じて、
- 緊急入院
- 心臓カテーテル検査
- 冠動脈治療
が検討されます。

■こんな症状があれば要注意
- 胸の圧迫感
- 胸痛
- 息切れ
- 冷や汗
- 背中・肩・顎の痛み
- 数日前の胸痛エピソード
- 強いストレス後の体調不良
こうした症状がある場合は、早めの受診が重要です。
■特に重要なのは「経過」をみること
心電図は、
“その瞬間だけ”を切り取った検査
です。
そのため、
- 数時間後
- 翌日
- 数日前の症状
などを合わせて考えることが極めて重要になります。

■まとめ
V2〜V4の陰性T波は、単なる“異常波形”ではなく、
- 亜急性心筋梗塞
- タコつぼ心筋症
- Wellens症候群
など、重大な心疾患のサインである可能性があります。
特にWellens症候群は、
「痛みが落ち着いた後」が最も危険
とも言われています。
「胸痛は治まったから大丈夫」
とは限りません。
胸部症状や異常を指摘された場合は、循環器内科での早めの評価が大切です。
柏市・我孫子市周辺で、
- 胸痛
- 動悸
- 息切れ
- 心電図異常
- 心筋梗塞が心配
などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
当院では、必要に応じて専門医療機関とも連携しながら診療を行っております。
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