• 2026年5月19日

「ペースメーカーが必要」と言われる前に

“偽の洞不全症候群”とは?高カリウム血症による危険な徐脈【柏・我孫子の総合内科専門医が解説】

「最近ふらつくことが増えた」

「脈が遅いと言われた」

「失神して救急搬送された」

「ペースメーカーが必要かもしれないと言われた」

このようなお悩みはありませんか?

高齢の方では、脈が極端に遅くなる「徐脈(じょみゃく)」が原因で、

  • ふらつき
  • 転倒
  • 失神
  • 息切れ
  • 強いだるさ

などが起こることがあります。

その代表的な病気が、

洞不全症候群(SSS)

です。

これは、心臓の“司令塔”である洞結節がうまく働かなくなる病気で、重症の場合にはペースメーカー治療が必要になることがあります。

しかし実際には、

「ペースメーカーが必要な本当の洞不全症候群」

ではなく、

“血液異常によって一時的に似た状態になっている”

ケースがあることをご存じでしょうか?

今回は、

「偽の洞不全症候群」

とも言える、

高カリウム血症による危険な徐脈

について、患者さん向けにわかりやすく解説します。

■そもそも「洞不全症候群」とは?

心臓は、

洞結節(どうけっせつ)

という部分から電気信号を出して動いています。

ここは、“心臓のリズムを作る司令塔”のような場所です。

この機能が低下すると、

  • 脈が極端に遅くなる
  • 心臓が一時停止する
  • めまい・失神を起こす

ことがあります。

■ペースメーカーが必要になることも

洞不全症候群では、

  • 強い徐脈
  • 失神
  • 日常生活への影響

がある場合、ペースメーカーが検討されます。

ペースメーカーは、「心臓の代わりに電気刺激を送る装置」です。

適切に使用すれば命を守る非常に重要な治療です。

しかしここで、

「本当に洞結節そのものが悪いのか?」

を見極めることが極めて重要になります。

実は「血液異常」で心臓が止まりかけることがある。

その代表が、高カリウム血症だからです。

■カリウム(K)とは?

カリウムは、

  • 筋肉
  • 神経
  • 心臓

が正常に働くために必要な電解質です。

しかし、血液中のカリウムが高くなりすぎると、心臓の電気活動が障害されます。

すると、

  • 徐脈
  • 危険な不整脈
  • 心停止

を起こすことがあります。

■心電図では「本物の洞不全症候群」に見えることがある

ここが非常に重要です。

高カリウム血症では、

  • P波が消える
  • 徐脈になる
  • 電気伝導が悪化する

ことがあります。

すると、「心電図だけ見ると洞不全症候群そっくり」に見えることがあります。

これを見抜けないと、

  • 本当は治療で改善できるのに
  • 不必要なペースメーカー手術

につながる危険があります。

■高カリウム血症ではどんな症状が出る?

症状はさまざまです。

  • ふらつき
  • 失神
  • 脱力
  • 息切れ
  • 動悸
  • 意識障害

などが起こることがあります。

特に高齢の方では、

「なんとなく元気がない」

だけのこともあります。

■なぜ高カリウムになるの?

原因として多いのは、

  • 腎機能低下
  • 脱水
  • 糖尿病
  • 一部の血圧薬
  • 利尿薬
  • サプリメント
  • 急性腎障害

などです。

特に、

腎臓の働きが低下している方

では注意が必要です。

■治療は「ペースメーカー」ではなく「カリウムを下げること」

高カリウム血症の場合、

本当に必要なのは、

血液中のカリウムを下げる治療

です。

具体的には、

  • 点滴治療
  • GI療法(インスリン+ブドウ糖)
  • カリウム吸着薬
  • 利尿薬
  • 緊急透析

などを行います。

すると、「心電図が正常に戻る」ことがあります。

つまり、

「心臓が壊れていた」のではなく、“血液環境が悪化していただけ”

というケースがあるのです。

■大切なのは「波形だけを見ないこと」

心電図は非常に重要な検査ですが、心電図“だけ”では分からないことがあります。

だからこそ、

  • 血液検査
  • 腎機能
  • 薬剤
  • 全身状態
  • 時間経過

を総合的に評価することが重要です。

■こんな症状がある場合は早めの受診を

以下の症状がある場合は注意が必要です。

  • 急なふらつき
  • 失神
  • 脈が遅い
  • 強いだるさ
  • 息切れ
  • 意識がぼんやりする
  • 転倒を繰り返す

特に、「最近急に悪化した」場合には、緊急性の高い病気が隠れていることがあります。

■まとめ

徐脈や失神をみると、

「ペースメーカーが必要なのでは?」

と考えることがあります。

しかし実際には、高カリウム血症など、“治療可能な原因”によって、一時的に洞不全症候群そっくりの状態になることがあります。

そのため大切なのは、

「本当に心臓の故障なのか?」

「血液異常による一時的変化なのか?」

を丁寧に見極めることです。

当院では、

  • 心電図
  • 血液検査
  • 全身状態

を総合的に評価し、「体の仕組み」を踏まえた診療を大切にしています。

柏市・我孫子市周辺で、

  • 徐脈
  • 不整脈
  • ふらつき
  • 失神
  • 健診異常

などでご不安のある方は、必ず医師にご相談ください。当院でも心電図や採血の評価を含めて総合的に原因を究明し適切な医療機関に紹介することが可能です。

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