- 2026年7月6日
【柏市我孫子市・総合内科】子どものケガに「複数の痛み止め」は意味がない?最新報告が明かす正しい鎮痛薬の選び方と体の仕組み:No OUCH試験を解説
イブプロフェンに他の薬を追加しても効果は同じ。副作用だけを増やす「薬の足し算」への警鐘
子どもがスポーツや遊びで骨折や捻挫などのケガをした時、その痛みを少しでも早く取ってあげたいと思うのは親として当然の心理です。「1種類の痛み止め(イブプロフェン)だけでは効かないかもしれないから、アセトアミノフェンやもっと強い薬も一緒に飲ませた方が良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。 しかし今回、医学誌の一つ『JAMA』にて、その常識を覆すカナダでの大規模な臨床試験(No OUCH試験)の結果が発表されました。小児の急性のケガに対して、イブプロフェンに他の鎮痛薬を追加しても痛みを和らげる効果は上がらず、むしろ強い薬は副作用を劇的に増やしてしまうことが証明されたのです。今回は、痛みと炎症が起こる「体の仕組み」と、子どもにとって最も安全で効果的な痛みのケアについて柏我孫子の総合内科専門医が解説します。
1. ケガの痛みを引き起こす「体の仕組み」とイブプロフェン
骨折や捻挫をすると、傷ついた組織から「プロスタグランジン」という物質が大量に作られます。これが神経を刺激して強い痛みを引き起こし、同時に患部を赤く腫れ上がらせます(炎症反応)。 イブプロフェン(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬)は、このプロスタグランジンが作られるのを根本からブロックする働きがあります。つまり、痛みを脳でごまかすのではなく、炎症という火事を直接消し止めるため、筋骨格系のケガに対して非常に理にかなった体の仕組みを持っています。一方、一般的な解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンには、この炎症を抑える力はほとんどありません。
2. 薬を「足し算」しても痛みは減らないという証明
今回の試験では、骨折や捻挫などの急性のケガを負い、強い痛みを訴える6〜17歳の子ども699人を対象に、「①イブプロフェン単独」「②イブプロフェン+アセトアミノフェン」「③イブプロフェン+ヒドロモルフォン(医療用の強いオピオイド系鎮痛薬)」の3つのグループに分けて効果を比較しました。 その結果、お薬を飲んでから60分後の「痛みのスコア(10段階)」は、どのグループでも全く同じように低下し(スコア4.6〜4.8)、薬を2種類に増やしても、強い麻薬系の薬を追加しても、痛みを和らげる効果は全く変わらないことが世界で初めて証明されました。
3. 強い薬(オピオイド)がもたらす「副作用の代償」
さらに重要なのは「安全性」です。イブプロフェン単独やアセトアミノフェンを追加したグループでは、副作用の発生率は約6%にとどまり、そのすべてが軽度なものでした。しかし、強い痛み止めである「ヒドロモルフォン」を追加したグループでは、吐き気、嘔吐、激しい眠気、めまいといった副作用の発生率が「28.2%」に跳ね上がり、実に4倍近くも副作用のリスクが高まることが判明したのです。
4. 子どもの痛みを守るための正しいアプローチ
この研究は、「薬を足せば足すほど効くはずだ」という思い込みが、子どもにとっては不要な副作用のリスクを負わせるだけであることを教えてくれます。子どものケガの痛みに対する飲み薬の第一選択は「イブプロフェン単独」で十分です。 また、薬だけに頼るのではなく、患部を「冷やす(アイシング)」「添え木で固定する(スプリント)」、そして不安を取り除くために「気を紛らわせる(ディストラクション)」といった非薬物療法を組み合わせることが、安全に痛みを和らげる最大の鍵となります。
柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、お薬がどのように作用し、副作用が起こるのかという**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、患者様お一人おひとりに合わせた安全な処方を行います。お子様の突然のケガや発熱、また大人の方の長引く関節の痛みなど、「お薬の正しい使い方」で迷われた際は、決して自己判断で複数の薬を飲ませず、柏・我孫子エリアのかかりつけ医である当院へお気軽にご相談ください。私たちは、皆様がお薬への不安から解放され、ご家族揃って安心で健やかな毎日を楽しめるよう全力でサポートいたします。
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Samina Ali, Terry P. Klassen, Patricia Candelaria, et al. “Acetaminophen (Paracetamol) or Opioid Analgesia Added to Ibuprofen for Children’s Musculoskeletal Injury: Two Randomized Clinical Trials.” JAMA. 2026;335(10):863-873.
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