• 2026年7月15日

【柏市我孫子市・総合内科】高血圧管理における血圧目標値:NEJM2026年の最新見解を解説

下げすぎによる「転倒」か、下げなさすぎによる「心臓病」か。あなただけの最適な血圧目標を見極める最新の議論

「血圧が高いから、とにかく下げれば良い」——若い頃なら正解だったその常識が、高齢になると必ずしも当てはまらなくなることをご存知でしょうか。血圧の薬を飲んで立ちくらみ(起立性低血圧)を起こしたり、朝方に転倒して骨折してしまったりするケースが高齢者では少なくありません。 今回、権威医学誌『The New England Journal of Medicine(NEJM)』にて、「75歳で時々転倒している高血圧の患者さんに対し、血圧の目標値を『120未満』と厳しくするべきか、それとも『140未満』と緩めに留めるべきか」という、実際の臨床現場で非常に悩ましいケースについての2人の専門家による対立した意見(ディスカッション)が発表されました。今回はこの最新の議論に基づき、血圧が私たちの体を守り、時に危険にさらす「体の仕組み」と、あなたに最適な血圧目標の見つけ方について柏我孫子の総合内科専門医が解説します。

1. 厳格に「120未満」を目指すメリット:心臓と脳を守り抜く

1つ目の意見は、血圧を「120未満」までしっかりと下げるべきだという主張です。近年の多くの大規模な臨床試験(SPRINT試験など)やメタ分析によって、血圧を厳格に下げることで、心筋梗塞や脳卒中、心不全による死亡リスクが明らかに低下することが証明されています。 さらに重要なのは、「認知機能」の保護効果です。血圧をしっかり下げることで脳の微小な血管へのダメージを防ぎ、認知機能の低下や認知症の発症リスクを約15%も減らすことができるというデータがあります。この専門家は、過去に転倒歴があっても、複数の薬が一つになった配合剤などを少量から用いて慎重に治療すれば、安全に血圧を下げて命を長引かせることができると強調しています。

2. 安全に「140未満」に留めるメリット:転倒と脳の血流低下を防ぐ

一方、2つ目の意見は、無理に下げず「140未満」の緩やかな目標に留めるべきだという慎重な主張です。人間は加齢とともに、血管の弾力性や、血圧を一定に保つ自律神経の働き(圧受容体反射)が低下します。そのため、急に立ち上がった時に血圧を維持できず、「起立性低血圧(立ちくらみ)」を起こしやすくなります。 もし薬で血圧を下げすぎていると、この立ちくらみが悪化し、転倒による骨折や寝たきりの直接的な原因となってしまいます。また、最新の研究では、急激な血圧の低下(低血圧エピソード)や血圧の変動が大きいこと自体が、脳の血流を不安定にさせ、結果的に脳の白質病変(ダメージ)や認知機能の低下を引き起こす可能性も指摘されており、過剰な降圧の危険性に警鐘を鳴らしています。

3. 「体の仕組み」を見極めるオーダーメイドの治療へ

この議論から私たちが学ぶべきことは、「すべての高齢者に共通する完璧な血圧の目標値はない」ということです。 患者さんが現在どのような薬(痛み止めのNSAIDsなど血圧を上げる薬を含む)を飲んでいるか、夜間や朝起きた時に血圧がどう変化するか、そして立ち上がった時に脈拍や血圧が正常に反応する自律神経の「体の仕組み」が保たれているか(バルサルバ手技などでの評価)を、主治医が総合的に評価する必要があります。

4. ご自身の「血圧の波」を知ることから始めましょう

病院の診察室で測る血圧だけでは、真の体の状態は分かりません。朝・晩の「家庭血圧」を毎日記録し、めまいやふらつきなどの症状がないかを確認することが、最適な治療目標を見つける第一歩です。「今の血圧の薬が自分に合っているか分からない」「立ちくらみが増えた」と不安を感じる方は、決して自己判断で薬を中止せず、全身のつながりを診ることができる総合内科へご相談ください。

柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、総合内科専門医の視点から、ただ単に血圧の数値を下げるだけでなく、患者様の年齢や転倒リスク、自律神経の状態などの**「体の仕組み」を丁寧に紐解きながら**、最も安全で効果的なオーダーメイドの血圧管理をご提案します。必要に応じてお薬の引き算(ポリファーマシーの解消)に積極的に取り組み、降圧薬の副作用によるお口の渇き(ドライマウス)などをケアする医科歯科連携を通じ、全身の健康をトータルでサポートいたします。柏・我孫子エリアで血圧や生活習慣病にお悩みの方は、当院へお気軽にご相談ください。私たちは、皆様が病気やお薬の不安から解放され、ご家族揃って安心で健やかな毎日を楽しめるよう全力で伴走いたします。

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Christos P. Kotanidis, Paul K. Whelton, Clinton B. Wright. “Blood-Pressure Targets in Hypertension Management.” N Engl J Med 2026; 394: 1026-1029.

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