• 2026年4月22日

関節リウマチにおける間質性肺炎合併時の治療戦略

関節リウマチ(RA)の診療において、間質性肺炎(ILD)の合併は予後を左右する極めて重要な因子です。RA患者さんは肺病変を合併する頻度が高いため、治療開始前には必ず胸部レントゲンやCTによる肺のスクリーニング評価が欠かせません。

治療薬の選択については、日本リウマチ学会(2020)の指針が重要な目安となります。メトトレキサート(MTX)やレフルノミド(LEF)は、PaO2 < 70(SpO2 94%以下相当)や呼吸機能検査での%VC < 80%といった「高度な呼吸機能障害」がない症例であれば、慎重なモニタリングの下で投与が検討可能です。しかし、薬剤の種類によって肺病変への影響には顕著な差が認められています。

臨床データを用いた薬剤比較では、タクロリムス(Tac)は投与後にCTスコアが有意に悪化する傾向があり、TNF阻害薬も約3割の症例で肺野の悪化が報告されています。一方で、トシリズマブ(TCZ)アバタセプト(ABT)は、CT所見や呼吸機能(FVC・DLCO)の改善・不変率が約9割と非常に高く、ILD合併例において相対的に安全に使用できる「無難な選択肢」として評価されています。

実際の臨床現場におけるリスク管理としては、KL-6などの線維化マーカーの定期測定や、受診ごとのSpO2濃度の確認が推奨されます。柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、これらのエビデンスに基づき、単に「禁忌」とするのではなく、患者さんの肺のリスク状態に応じた精密な抗リウマチ薬の使い分けを行っています。関節の痛みと併せて、息切れや空咳などの症状がある場合は、早期の専門的評価が重要です。

  • 慎重投与・リスク検討群(悪化リスクに留意が必要な薬剤)
    • MTX(メトトレキサート) / LEF(レフルノミド): 高度な呼吸機能障害がある場合は避けるべきとされる。
    • タクロリムス(Tac): 研究でCTスコアの有意な悪化が示されている。
    • TNF阻害薬: 約3割でCT所見が悪化するデータがある。
  • 推奨・安定群(ILD合併例で比較的安全とされる薬剤)
    • アバタセプト(ABT): 呼吸機能(FVC/DLCO)の維持・改善率が約9割と高い。
    • トシリズマブ(TCZ): CT所見の維持・改善率が92.3%と極めて高い。

柏五味歯科内科リウマチクリニック

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