- 2026年4月27日
関節リウマチの整形外科手術における周術期管理:免疫抑制薬をどうするのか?
関節リウマチ(RA)患者など免疫抑制患者が人工関節置換術などの整形外科手術を受ける際、服用している薬剤を「休薬(一時中止)すべきか、継続すべきか」は非常に重要な判断となります。これまでは「免疫を抑える薬は感染症のリスクを高めるため、手術前後は休むべき」と考えられてきましたが、最新のエビデンスはこの常識を塗り替えつつあります。
1. メトトレキサート(MTX)は「休まない」のが世界のコンセンサス
リウマチ治療のアンカードラッグであるメトトレキサート(MTX)に関しては、手術前後も「休薬せずに継続すること」が推奨されています。338名の患者さんを対象とした大規模なランダム化比較試験(RCT)では、MTXを継続したグループの術後合併症率が2%であったのに対し、2週間休薬したグループでは15%と、むしろ休薬した方が合併症のリスクが高まるという結果が出ました。
休薬しない最大の理由は、「関節リウマチの再燃(フレア)」を防ぐためです。手術という大きなストレスがかかる時期に休薬すると、リウマチが悪化し、せっかく手術した関節の破壊が進行してしまう恐れがあります。MTXを継続することで、炎症を抑えたまま術後のスムーズな回復とリハビリテーションを支えることができます。
2. 生物学的製剤(bDMARDs)は「ケースバイケース」の個別判断
一方で、生物学的製剤に関しては、MTXほど明確な基準が定まっておらず、患者さんの疾患活動性や手術内容に応じた柔軟な対応(個別判断)が求められます。 約7,000人を対象としたメタアナリシスによれば、生物学的製剤を休薬しても継続しても、手術部位の感染率や傷の治りの遅れ(創傷治癒遅延)に有意な差は認められませんでした。しかし、休薬したグループではリウマチの再燃率が25.7%に達しており(継続群は7.3%)、安易な休薬は痛みの再発を招くリスクが高いことが示唆されています。
結論として、現在のリウマチ診療では、単に感染リスクを恐れて薬を止めるのではなく、「感染症の予防」と「リウマチ悪化の阻止」のバランスを専門医が総合的に判断することが、手術の成功と術後の生活の質(QOL)向上に直結します。











最後に、柏五味歯科内科リウマチクリニックでは、最新のエビデンスに基づき、症状の背景にある「体の仕組み」まで丁寧に説明しながら、内科・リウマチ・膠原病診療を行っています。
整形外科手術を控えた関節リウマチ患者様においても、「なぜ薬を続けることが術後の回復に有利に働くのか」を専門的な視点から分かりやすく解説し、外科医と密に連携しながら、安心して手術に臨める環境作りを大切にしています。
柏市・我孫子市周辺で、手術前後の薬剤管理に不安を感じている方や、痛みの再燃を防ぎながら安全に治療を進めたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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